戦艦武蔵発見か、MS共同創業者が水深1000メートルで
米IT大手「マイクロソフト」共同創業者で世界的な富豪として知られるポール・アレン氏(62)が3日、太平洋戦争で撃沈された戦艦「武蔵」の船体を、フィリピン中部シブヤン海の海底で発見したと自身のツイッターで発表した。武蔵の船体は戦後70年間、一度も確認されておらず、専門機関は「本当に武蔵ならば世紀の大発見」としている。
アレン氏はツイッターに「1944年に撃沈された戦艦武蔵を、私の『オクトパス』でシブヤン海の水深1000メートルで発見した」とつぶやいた。「オクトパス」とは、潜水艇を搭載した同氏所有の巨大ヨット。アレン氏は発見の証拠として、2枚の写真を掲載した。
船首とみられる画像を「菊の紋章と巨大なイカリ」と説明。サンゴが付着したように見えるバルブの画像には「開」「主弁取手」との漢字が確認できる。同氏は船尾にあった艦載機射出機や主砲の砲塔が設置されていた部分の映像も今後公開すると明らかにしている。
旧海軍OBらで構成し、調査研究などを行っている公益財団法人「水交会」によると、武蔵の船体は戦後70年にわたって一度も確認されておらず、同事務局は「本当に武蔵ならば、世紀の大発見」とし「生存された方が写真を確認すれば、本物かどうか判断できるかもしれません」と話している。
世界最大級の戦艦として40年に進水した武蔵は44年10月24日、連合国軍のレイテ島上陸部隊への出撃途中、米軍機の攻撃を受けて沈没。約2400人の乗組員のうち約1000人が死亡した。
武蔵と同じ「大和型戦艦」には「大和」「信濃」がある。45年4月に沈没した大和は85年8月、日本の調査団によって東シナ海の海底で真っ二つの状態で発見された。大和であることが断定される決め手となったのは、船首部分の菊の紋章だった。戦艦から空母に設計を変更した「信濃」は44年11月、未完成の状態で回航していた和歌山県沖で撃沈されている。
アレン氏は、75年にビル・ゲイツ氏(59)とともにマイクロソフトを創業。米誌フォーブスが2日に発表したばかりの世界長者番付では、資産175億ドル(約2兆1000億円)で51位にランクインした億万長者だ。
過去には宇宙開発会社を設立したり、ET(地球外生命体)探しの電波望遠鏡のために専門機関へ数十億円の寄付をするなど、未知なるものへ高い関心を持っていることでも知られる。