愛読者でオフ会を開いています

村上さん、こんにちは。

ぼくは昔から映画も本も音楽もひとりで楽しんできた方なんですが、あるとき「村上春樹好きってどんな人たちなんだろ?」と興味がわいてオフ会を開くようになりました。
ただ、いかにもな読書会は避けたかったので、読まなきゃいけない本もありませんし、テーマなんかも決めてません。村上さんの本が好きで、できればお酒が飲めたらいうことないです。だからとりとめのない話が多くなるんですが、参加した人と本とのリアルな繋がりが垣間みられることもあります。そうして7年のあいだに10回ほど続けてきました。
今では同じ本が好きでも人の数だけその接し方があると実感しています。
そこで村上さんに質問です(前置きが長くてすいません)。近々また会を開こうと思うのですが、あえてテーマを決めるならどういったものがいいでしょうか? シビアなものでも、くだらないのでもけっこうです。なにかご提案いただけると幸いです。
(ベール、男性、36歳)

すみません。僕自身はこれまでそういう本の読み方をしたことがないので、その会の感じみたいなのがうまくつかめないんです。だから何をテーマにしても、と言われても急に浮かんできません。一冊の本を書くという行為の中には、本当にいろんな要素がみしみしと詰め込まれていますので、その中から何かひとつを抜き出してテーマにするというようなことは、作者にとってはちょっと不可能だという気がします。すべてが婚前一体じゃなくて、渾然一体としています(漢字変換も急に変なもの出してきますよね)。ですから、僕にきかないで、本当にお好きなように、やりやすいように適当にやっててください。楽しい会になるといいのですが。

村上春樹拝