川崎・中1殺害:逮捕のリーダー格「切れやすく」子分従え
毎日新聞 2015年02月27日 11時54分(最終更新 02月28日 18時13分)
◇上村さん「優しくしてくれる」が、次第に「使い走り」
残忍な事件に関与した疑いが強まったのは3人の少年だった。川崎市川崎区の多摩川河川敷で同区の中学1年、上村(うえむら)遼太さん(13)の刺殺体が見つかった事件。発生から1週間となる27日朝、神奈川県警川崎署捜査本部は殺人容疑で少年らの事情聴取を始め、リーダーとされる少年(18)を逮捕した。上村さんと少年らの間に何があったのか。
捜査本部が置かれている川崎署。逮捕された少年は午前8時45分ごろ、タクシーで署に到着した。口をマスクで覆い、白の上着姿。母親とみられる女性と弁護士が付き添い、ややうつむき加減で足早に署内に入った。26日夜の取材に対し、同弁護士は「少年は上村さんの殺害とは無関係。上村さんとは面識があった程度」と説明していた。
「グループを抜けたいと言ったら、『調子に乗るんじゃねえ』と言われて、また殴られた」
上村さんは先月、少年らについて、親しい同級生にこう打ち明けていた。
上村さんは2013年7月、自然豊かな島根県・隠岐(おき)諸島の西ノ島(西ノ島町)から川崎市に引っ越して来た。そのまま地元の中学に進学したが、大好きだったバスケットボールの部活動に次第に足が向かなくなった。ゲームセンターや夜の公園でバスケをして遊んでいるうちに、少年らと知り合ったという。
当初、上村さんは友人らに「少年らが優しくしてくれる」と話していたが、次第に「使い走り」のように扱われ、暴力を振るわれるようになった。今年1月には、左目のまわりに大きな黒いあざができている姿を目撃されていた。
友人らが問いただすと、逮捕された少年の名前が挙がった。別の2人を含めた少年グループのリーダー格で、少年らを「子分」のように従えていた。知人の少女によれば、切れやすく、けんかっ早い性格だったという。
上村さんは、友人の一人に対し「一緒につるんでいる先輩たちから『スーパーで万引きをしろ』と言われ、断ったら殴られた」と説明。一方で、「万引きをしないと認めてもらえない。やりたくないけど、やらないと殴り殺されるかもしれない」とも打ち明けていた。【神保圭作、山崎征克、松浦吉剛】