東京新聞にダメ出し会議
いろいろな分野の人々に、東京新聞を良くするアイデアを聞いてみました
【社会】ネット上 臆測拡散 少年事件情報名誉毀損にも十八歳と十七歳の少年三人が逮捕された川崎市の中一生殺害事件では、発生直後からインターネット上に真偽不明の情報が飛び交い、関係者に動揺が広がっている。加害少年の特定につながる報道を禁じた少年法もネットの投稿は想定外で、誤解に基づく情報も多い。少年事件のたびに書き込みが拡散する無法状態が放置されれば、同法の規定そのものが形骸化しかねないとの懸念も浮かぶ。 ▽書き込み 「この五人が犯人」「住所や家族の写真もさらせ」 川崎市川崎区の多摩川河川敷で見つかった男性の遺体が上村遼太(うえむらりょうた)さん(13)と確認された二月二十一日以降、ネットにこうした書き込みが氾濫した。 「『犯人を捜したい』という思いで、仲間に向けて送った」。上村さんの友人は、事件にかかわったとみた少年の画像と氏名をツイッターに書き込んだ。 だが投稿がメディアの目に留まり、取材を受けたことで「さらされるのは自分も嫌だし、(少年の情報が)間違いだったらまずいと思った。仲間に『消そう』と呼び掛けた」(友人)。 書き込んだ情報はその頃、真偽もあいまいなままで、別人が投稿した明らかに誤った画像や人名とセットで出回り、急速にネット上で拡散していた。 ▽少年法 「氏名、住居、容貌など本人と推知できるような記事や写真を新聞などに掲載してはならない」 少年法六一条は、将来の更生や社会復帰への配慮から、罪に問われた未成年者の特定につながる報道を規制しているが、誰でも自由に発信できるネットの書き込みは想定外で、罰則規定もない。 一方で、ネットに一度書き込まれた情報は、削除が困難で、拡散は容易には止まらない。昨年の長崎県佐世保市の女子高生殺害事件や名古屋の女性殺害事件でも、容疑者だとする画像や個人情報がネット上で独り歩きし、今も一部に残されたままとなっている。 無責任な投稿が、少年法とは別の問題に発展する可能性もある。二〇一一年の大津市の中学生いじめ自殺問題では、関係のない女性が「加害者の母親」として氏名などを掲載され、嫌がらせに悩まされた。 少年法に詳しい石井小夜子弁護士は「容疑者かどうか分からないのに実名や顔写真を投稿するのは、名誉毀損(きそん)になる可能性がある」と指摘している。 PR情報
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