保管コストの削減はもとより、劣化の防止や検索性の向上、再利用の促進などさまざまな利点が認められ、徐々に広がりつつある紙の文書や帳票のデジタルデータ化ですが、用途や目的を考慮せずにむやみにスキャンすることでかえって効率が悪くなったり、作業に手戻りを発生させてしまうことも少なくありません。
また商法や税法で保管が義務付けられている文書の場合、電子帳簿保存法やe-文書法などのルールに則った手順を踏む必要があり、自分の判断でやみくもにデータ化するわけにいかないといった事情もあります。
本連載ではこうした現在の状況を踏まえつつ、文書のデータ化にまつわる情報、さらにはフォーマットであるPDFや変換機器であるスキャナ、保存先となるストレージに至るまで、業務現場と情報システム部門に役立つ知識やTips、活用術を幅広く紹介していきます(著者より)
既存のPDFからページの一部分、例えばロゴや図表を切り取ってプレゼン資料に貼り付けたいことがある。とくにPDFの元になったファイルが手元になく、PDFに埋め込まれている画像しか現存していない場合は、こうしたケースがしばしば発生する。
この場合、どんな方法で画像を抜き出すのがもっともスマートだろうか。Acrobatを所有していれば、画像をパーツ単位で抜き出せるが、Adobe Readerではこの機能は使えない。PDFを表示した状態で画面ごとスクリーンショットを撮って画像化する方法もあるが、画像処理ソフトでのトリミングなどの作業が必要になるので、余計な一手間がかかってしまう。
Adobe Readerしかない環境で、PDF上の一部分だけを切り取ってオフィス文書に貼り付けるには、Adobe Readerの「スナップショット機能」を使うのがもっとも手軽だ。スナップショット機能であれば、必要なロゴや図表の対角線上をドラッグして範囲を指定するだけで、その範囲がクリップボードに保存されるので、あとはそのままPowerPointやWordなどのソフトを立ち上げてペーストすればよい。画像をいったん保存することなく、ダイレクトに貼り付けられるので、ローカルに余分なファイルが作業後に残らないという利点もある。
ちなみにスナップショット機能で画像をコピーする際は、元のPDFをなるべく拡大した状態でスナップショットを撮ったほうが、クオリティの高い画像を得られる。貼り付け先のプレゼン資料でなるべく高解像度で使いたい場合は、スナップショットを撮る時点で画像を拡大表示しておくよう、心掛けるとよいだろう。
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