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【国際】

ウクライナ東部 戦闘 派遣された 重傷ロシア兵証言

 【モスクワ=常盤伸】ロシアの独立系紙「ノーバヤ・ガゼータ」(電子版)は2日、ロシア陸軍戦車旅団の兵士が、ウクライナ軍と親ロシア派武装勢力との激しい戦闘が2月にあったウクライナ東部デバリツェボへ派遣されていたと証言した、と報じた。重度の火傷を負って収容された東部ドネツク市の病院で取材に応じたという。ロシア兵がウクライナ派遣について具体的に語ったのは初めて。

 プーチン政権はロシア軍のウクライナ東部への展開を否定しており、ロシア世論や国際社会に波紋を広げる可能性がある。

 ノーバヤ・ガゼータは三日が休刊日で、四日付の紙面に掲載される予定だ。

 証言したのは、ロシア東部シベリアのブリャート自治共和国ウランウデに駐屯するロシア陸軍第五戦車旅団に所属し、戦車の照準手を務めるドルジ・バトムンクエフ兵士(20)。

 バトムンクエフ氏は昨年六月に三年契約で入隊。戦車三十一両などからなる少なくとも一個大隊が十月、シベリア鉄道経由でウクライナ国境近くのロストフ州に到着し演習を繰り返したが、ロシア軍の記章などは全て外したという。

 今年二月八日朝、行き先も告げられないまま、上官から移動命令が下り、戦車十両、装甲車三両とトラック五台からなる中隊ごとにウクライナ東部ドネツク州に入った。バトムンクエフ氏は「市の表示を見てドネツク市と分かった。戦車から頭を出し、きれいな街だと思った」と話した。

 ベラルーシ・ミンスクで停戦が合意された後の十九日に、ウクライナ軍が包囲された東部の要衝デバリツェボ付近で、脱出しようとするウクライナ軍部隊と激しい戦闘を展開。ウクライナの戦車を破壊したが、別の戦車から攻撃され顔に重傷を負ったという。

 バトムンクエフ氏は軍最高司令官のプーチン大統領について「(今も)反感はない。面白い人間だが、ずるい。世界には、ロシア軍はいないと言いつつ(実際には)直ちに派遣している」と話した。

 ノーバヤ・ガゼータは調査報道で知られ、プーチン政権批判を展開し暗殺されたポリトコフスカヤ記者が在籍した。

3日、モスクワ市内で営まれたネムツォフ元第1副首相の葬儀=常盤伸撮影

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◆ロシア兵の報告書準備 暗殺ネムツォフ氏 葬儀に市民多数

 【モスクワ=常盤伸】暗殺された反政権派指導者ボリス・ネムツォフ氏の盟友で国民自由党モスクワ支部長のヤシン氏は三日、ネムツォフ氏がウクライナ東部へ派遣されたロシア軍兵士に関する詳細な報告書を一カ月以内に発表する意向を示していた、と明らかにした。インタファクス通信が報じた。

 ネムツォフ氏は暗殺前日の二十六日、ウクライナで戦死した兵士の家族と面談するなど調査活動を進めているとヤシン氏に明かしていたという。関係資料は捜査当局が回収したという。

 モスクワ市内の「サハロフセンター」で三日、ネムツォフ氏の葬儀が市民葬として行われ、市民多数が別れを惜しんだ。

 会場の壁には、ソ連崩壊前後に改革派の政治家として活躍したネムツォフ氏の功績をたたえる写真が並べられ、参列者は沈痛な面持ちで棺の周りに赤い花を手向けていった。

 メージャー英元首相やテフト米大使など欧米からも多くの外交官や政治家らが参列。盟友カシヤノフ元首相ら政権内外のロシアのリベラル派も期せずして結集し、突然の凶弾に倒れた民主化の闘士の死を悼んだ。

 参列したクドリン元財務相は地元メディアに「暗殺はロシアの歴史でも衝撃的な事件。ロシアの主要政党の代表者が参列しなかったのは残念だ」と述べた。ウクライナのポロシェンコ大統領は三日、ネムツォフ氏に自由勲章を授与する大統領令に署名した。

 ネムツォフ氏は三日、モスクワのトロエクロフスコエ墓地に埋葬された。

 事件当時ネムツォフ氏に同行していて事実上の軟禁状態にされたウクライナ人女性ドリツカヤさんは二日深夜、ロシアからの出国を許され、ウクライナのキエフに到着した。

 

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