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印南敦史印南敦史  - ,,  07:30 AM

企業も社員も、一流であるか否かは「コンシャス」で分かれる

企業も社員も、一流であるか否かは「コンシャス」で分かれる

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自分の内と外両方の世界に目を向けるコンシャス・ビジネスでは、精神面が非常に重視される。そしてビジネスは自己、文化、環境などと深く関係している。コンシャス・ビジネスとは、要は自己、文化、環境に対して意識的、もっと言えば意志的になることを指す。


現代思想家のケン・ウィルバーは、『コンシャス・ビジネス 価値ある企業に生まれ変わるための意識革命とは何か』(フレッド・コフマン著、 増田沙奈訳、駒草出版)の「序文1」でこのように書いています。そして、ビジネスは(1)「個人(=自己)」のモチベーションを上げること、(2)企業風土・価値(=文化)を重視すること、(3)企業体制(=環境)を整えることが大切だとも。つまり、リーダーシップを発揮するためには、この3つをうまく組み合わせて使うことが大切なのだそう。

しかしこれだけでは、著者の「一流企業の共通点は『コンシャス』」であることの意味を咀嚼しきれません。そこで第1章「コンシャス・ビジネスとは何か」から、要点を拾ってみたいと思います。


コンシャスとはなにか


コンシャスとは、「現実を正しくとらえ、自分の内側と外側の世界の両方に敏感になれる意志力」のこと。また、この力があれば、環境に適応し、人生にプラスの変化を与える行動を起こせるとも著者は説明しています。いわば動植物とは違い、私たちは自分で自分を律することができるということ。ただし「自律心」は生まれながらに備わっているものではなく、生きていく過程で身につけなければならないともいいます。そして、そのために必要なのが、強い意志に基づく選択。

意志があるということは「目を開いている状態」なので、いろんなことに敏感になれるもの。世界や心のなかをじっくり見据え、置かれている状況を理解し、自分のニーズ、価値観、目標に見合う選択をするにはどうしたらいいかを判断できるということです。意志を強く持てば、もっとまわりに意識を向け、状況を的確に判断し、自分の価値観に基づいて複数の道筋を想定することが可能。そして現実と向き合い、自分の価値観を尊重しつつ、夢や目標を追い求められるというわけです。

逆に意志がないと、目を閉じているのと同じでまわりが見えない。だから結果的に、本能と習慣に振り回されてしまうと著者。本能と習慣に支配され、幸せをつかめない目標を闇雲に追いかけることになり、行動しては後悔し、自分や大切な人を傷つけてしまうといいます。


コンシャス・ビジネスがもたらすもの


当然ながら、コンシャス・ビジネスも同じ。意思ある人生を送ろうと思うなら、意志を持って仕事する以外にないということです。そして意思ある仕事は、現実と人間の存在意義にまつわる革新的な問いをじっくり考え、その答えを自らの選択に生かしてこそできるものだと著者は記しています。


意志を持って仕事をすれば、誰の心にも気づきが生まれる。たとえば、社員なら世の中を正しい視点でとらえ、その中での自分の役割を良識に基づいて判断しようとし始める。と同時に、自分という存在について深く考え、善き行いとは何か、意味ある人生とは何か。幸せとは何かという問いに自ら答えを探し始める。(28ページより)


それだけではありません。視点は外側にも向けられ、ともに働く仲間を「人材」ではなく「人財」としてみるようになり、ひいては顧客の成長や幸せにつながる商品やサービスを提供したいと願うようになるのとも著者は記しています。つまり、コンシャス・ビジネスは、個人には安らぎと幸せを、社会には尊厳と連帯感を、企業にはミッションの達成をもたらしてくれるということ。(25ページより)


コンシャスな社員の条件


すると、気になってくるのはコンシャスな社員、意義ある社員の条件ですが、彼らについて本書は次の7つの特徴を挙げています。まず、個人に関するものとしては「一貫した責任感」「真の意味での誠実さ」「根っからの謙虚さ」。次にチーム力に関わる「心の通い合うコミュニケーション」「建設的な交渉術」「完璧な約束」。そして、それら6つの能力を発揮するために欠かせない「心を味方につける」。これらの能力は、自分、他人、社内に対して深く根づいた思い込みを疑ってかからないと身につかないものだそうです。

そしてコンシャスな社員は、自分のやることに責任を持つもの。目先の成功のためにモラルを破ったりせず、本心で話し、相手の本心も真摯に受け止めるといいます。トラブルが起きたら自ら答えを導き出し、自分のことばにも100%責任を持つ。つまり、自分の心の声に耳を傾け、それを効率よく表現できるということです。

しかし、意志のない社員は、トラブルが起これば他人のせいにし、目の前の利益に飛びつく。常に自分が正しいと思い込んでいて、肝心な情報をまわりに話さず、クレームには目をつぶり、交渉は相手を言い負かすものだと思っている。相談もなく仕事を振ったり、よく考えもせず約束をするため、自分のことばに無責任。感情に蓋をするか、爆発させるかのどちらかだといいます。

なお、コンシャスな社員が組織目標のために全力で打ち込もうとすれば、同じようにコンシャスな上司が必要。なぜなら、いくら意志のある社員でも、「上司に認められている」「支えてもらっている」「期待されている」と思えなければ前には進めないから。コンシャスな上司がいて初めて、部下は最大限の能力を発揮できるということです。(29ページより)


コンシャスな上司の条件


世論調査で有名なギャラップ社のマーカス・バッキンガム氏とカート・コフマン氏が、共著書『まず、ルールを破れ──すぐれたマネジャーはここが違う』で明らかにしたかったのは、「本当に優れた社員のいる職場はなにがちがうのか」ということだったそうです。そして最終的に導き出されたのは、「有能な社員のいる職場には、必ず有能な上司がいる」という結論。

そうなると結果的に、「優れた経営者たちは、どうやって優秀な社員を見つけ出し、仕事に打ち込ませ、手元に置いておくのか」という疑問に行き着きます。ですが、この点についてバッキンガムとコフマンは、「世界的に有能な経営者」は、次の12個の質問に対して社員がきっぱり「イエス」と答えられる環境をつくれている人物だと結論づけたそうです。


1.仕事で自分になにが求められているかがわかっている。
2.スムーズに仕事をするためのリソースや設備を与えられている。
3.自分の能力を毎日充分に発揮できるチャンスがある。
4.この1週間で仕事の成果を感謝されたり褒められたりした。
5.上司や同僚が、自分をひとりの人間として大切に扱ってくれている。
6.職場に自分の成長を応援してくれている人がいる。
7.自分の意見が尊重されている。
8.会社の理念や目標にとって、自分の仕事が欠かせないものだと感じる。
9.同僚も質の高い仕事に打ち込んでいる。
10.職場に友人がいる。
11.この半年で成長したと言われたことがある。
12.この1年で仕事からなにかを学んで成長するチャンスがあった。
(32ページより)


なお、これは直属の上司と部下との関係だけではなく、組織のどの階層にも当てはまるものだと著者はいいます。そして経営者の最大の責任は、「コンシャスな社員」を会社に根づかせること

部長やマネジャークラスにとっては、事業方針や目標の設定だけではなく、自分の下につくリーダーを惹きつけ、育て、離れたくなくなるような環境をつくることもまた大切。コンシャスな社員が「ずっと働きたい」と思えるように、上に立つ者は意思あるリーダーシップを発揮する必要があるということです。(31ページより)



「コンシャス(意識的な)」という観点からビジネスを俯瞰しているという点こそが、本書の強烈なオリジナリティ。精神論的な側面が強くもありますが、それもまた、「コンシャスであること」に不可欠な要素であるはず。そういう意味で、働くことの意義をポジティブにとらえたい人には必読の書だといえます。

(印南敦史)

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