経済の死角

なんだかなあ 消費税に「軽減税率」新聞だけは早くも当選確実

2015年03月04日(水) 週刊現代
週刊現代
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さんざん消費税増税を煽ったのは、「自分たちだけは助かる」と分かっていたからに違いない。読者に負担を説いておきながら、自らは安全地帯へ逃げ込む。それで「社会の木鐸」って、ズレていないか。

「5%に戻してほしい」

「安倍総理が進める安保法制を認める見返りとして、公明党は自民党に軽減税率を認めさせました。新聞各社は、この軽減税率導入を後押しすることで、いち早く『当選確実』を手にしたわけです。

まだ各業界の関係者がひっきりなしに自民党本部を訪れ、『ウチを軽減税率の対象にしてください』と陳情合戦を繰り広げている最中だというのに、新聞社だけは高みの見物ですよ。当然ながら、新聞は政権とのルートに事欠きませんからね」

こう明かすのは、某業界団体関係者だ。

自民・公明の両与党が、先の総選挙で公約に掲げた「軽減税率の導入」。すでに与党と財務省は、'17年4月の消費税再増税に向けて、対象品目について詰めの議論を始めているが、その詳細はまだ明らかになっていない。

「具体的には、端緒についたところです。それに早くから品目を出すと、各業界の猛反発にあってしまう。なるべくギリギリまで漏れないようにする」(自民党議員)

しかし、まだ議論が始まったばかりだというのに、すでに新聞業界は余裕綽々、「オレたちはセーフ」という雰囲気が漂っているのだ。

安倍政権に近いといわれる読売新聞、産経新聞だけでなく、朝日新聞、毎日新聞、はては琉球新報などの地方紙に至るまで、こと軽減税率となると「やるべき」「ついでに新聞も対象にすべき」と口を揃える。そういえば、彼らがことあるごとに、こんな文言を紙面に織り込んでいることに気付いた読者も多いのではないだろうか。

〈軽減対象は食料品に限られるわけではない〉(今年2月11日、毎日新聞)

〈(海外で)新聞に軽減税率が適用されるのは、民主主義を支える基盤であるとの認識からだ〉('14年11月23日、産経新聞)

音頭をとるのは、88歳にして読売新聞を率いる新聞業界のドン・渡辺恒雄氏と目されている。ジャーナリストで、元朝日新聞編集委員の山田厚史氏が言う。

「他の業界なら、政治献金やパーティ券の購入で政権と税調の幹部に取り入るのですが、新聞社はそれができない。だから、OBや政治部記者がロビイングを行うわけです。かつて地方に民放テレビ局が次々と認可された時代、系列の新聞社は政治部記者をいわゆる『波取り記者』にして電波取得のロビイングに動員しました」

とりわけ、自民党に豊富な人脈を持ち、こうしたロビイングで大きな役割を果たすのが読売新聞というわけだ。現在、日本新聞協会会長を務めるのは同グループ社長の白石興二郎氏。白石氏は昨年夏の与党税制協議会で「新聞は税率5%でお願いしたい」と具体的な数字まで出して、政府に軽減税率適用を要求した。

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