お笑い界に危機感 石橋「テレビ見ないやつ増えた」 松本「周りがすごいシリアスな状況」 大物2人がテレビへの思い吐露のウラ
東西の芸人を代表するお笑いコンビ「とんねるず」の石橋貴明(53)と「ダウンタウン」の松本人志(51)が、自身の出演するテレビ番組で、相次いでテレビへの思いを口にした。かねてから笑いのスタイルの違いなどで確執がささやかれてきた2人だが、80年代から90年代にかけてのテレビ番組を支えてきただけに、思いは同じなのだろうが、「自分たちの笑いへの危機感の表われ」との声も聞こえてくる。
テレビへの危機感を語ったのは、石橋だった。先月26日放送のフジテレビ系「とんねるずのみなさんのおかげでした」で、「家にテレビがないやつとか、テレビを全く見ないやつが増えてきている中で、今のテレビを面白くすることを考えないといけない」と発言。
今は、若者がテレビ業界に対して夢を描きにくくなっているとしたうえで、「テレビを面白いフィールドにもっとしていかないと、次がなくなっちゃうということを考えないと」と警鐘を鳴らした。
一方の松本は、1日放送のフジテレビ系「ワイドナショー」で、川崎市の中1男子殺害事件にからんで、少年たちの行為が殺人にまで及んだことに「絶対にテレビでできることは俺はあると思う」と、テレビの可能性について言及した。
「自分が甘いのかもしれない」と断りを入れながらも、「周りがすごいシリアスな状況になっている。芸人がその緊張感を和らげることで、だいぶ雰囲気変えるのでは」と提案、「抑止力になるのでは」と語った。
インターネットやスマートフォンなどの普及で、視聴者のテレビ離れが叫ばれている中、ともに視聴率低下が指摘される東西を代表する芸人がテレビの可能性について言及したことについて、芸能評論家の肥留間正明氏は「20年以上トップで走ってきた芸人が、自分たちの笑いに危機感を感じているからこそ、生まれてきた発言なのでは」と指摘する。
「これまで、彼らが弱い者をいじめて笑いをつくってきたことは、ずっと批判されてきた。それは本当の笑いではない。若い人がテレビ界に夢を見られないことも、子供たちが残酷な行為に走ってしまうことも、すべてつながっている。まずは、基本から見直して、きちんとした笑いをしっかりと作ってほしい」
問題は番組ではなく、作り手の意識にあるということだ。