粛清人事&委任状争奪戦
経営権を巡る父娘の対立が激しさを増している大塚家具。創業者である父の大塚勝久氏が2月25日に突然会見を開き、長女の大塚久美子社長に辞任を求める異例の事態に発展した。
「久美子氏が社長のままでは優秀な社員が退社してしまう」
「私を社長に戻して欲しい」
「大株主さんは判断を間違えないと信じている」
そう語って、3月27日の株主総会に向けて委任状争奪戦(プロキシー・ファイト)を繰り広げることを宣言した。
では本当に、久美子氏の経営手法に問題があるのだろうか。
今年1月の取締役会で社長に久美子氏が復帰したことについて、勝久氏は「娘の社長就任はクーデター、社員はテロだと言っている」とまで言い切った。
5年にわたって社長を務めていた久美子氏が、会長主導で突如解任されたのは昨年7月のこと。それ以降、社長を兼務した勝久氏流の“経営”が始まったが、社内は混乱を極めたという。
真っ先に起こったのが「粛清人事」。社長解任後に、久美子氏派と目された幹部が軒並み更迭されたのだという。16人いた店長のうち10人が交代し、すべて会長の「イエスマン」になった。25日の勝久氏の会見では雛壇の後ろに幹部社員がズラリと並び、社員は勝久会長側であることをアピールしたが、もともとイエスマンで固めた幹部たちだった、という。
次いで、広告宣伝費を7億円も積み増したが、これは久美子氏が社長在任中に反対していたこと。消費税増税後の落ち込みが著しい中で、「広告をもっと打てば顧客が来る」という父に抵抗していたが、社長解任で一気に増額に舵を切った。
さらに、勝久氏の生まれ故郷である埼玉・春日部で、5000坪に及ぶ土地を取締役会で深い議論も行わずに勝久氏が取得してしまう。
広告宣伝費を7億円増やしたことについては、25日の会見で「別の項目を振り替えただけで積み増したわけではない」(長男の大塚勝之専務)と反論していたが、実際には広告宣伝で思ったほど客数が増えなかった。2014年12月期決算は4億9600万円の営業赤字に転落。前の期は8億4300万円の黒字だったうえ、久美子氏が社長だった7月までは黒字を維持しており、「下期の広告費が利益を圧迫したのは明らか」(証券アナリスト)な結果になった。
今年1月、そんな勝久氏の独断専行に待ったをかける意見が社外役員から出されていたことが、関係者の証言で明らかになった。
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