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これが教育の世界のできごとだろうか。大阪府の教育行政のトップである中原…
これが教育の世界のできごとだろうか。大阪府の教育行政のトップである中原徹・府教育長(44)が、4人の職員にパワーハラスメントをしていたとして、進退を問われている。
府教委が設置した第三者委員会の報告書によると、見せしめ的に大勢の前で叱ったり異動や解職を示唆する発言をしたりしたことが何度もあったという。
第三者委は「自由に意見を述べることを自粛する『萎縮効果』が出ている」とし、一部発言については「違法と評価しうる」と認定した。職員4人のうち1人はすでに退職している。
府教育長は府立学校を管理し、市町村教委を指導・助言する事務局のトップだ。子どもの人権を守るべき立場であり、このような言動は到底許されない。中原氏は「報告書の結果を全体として重く受け止める」と議会で答弁した。ならば責任の重さを自覚し、自ら進退を考えるべきだ。
ことの発端は、女性の教育委員の訴えだった。
中原氏は認定こども園の定員上限を引き上げる条例改正案の打ち合わせの際、案に反対した委員に「罷免(ひめん)要求を出す」などと発言したという。その後複数の職員からも被害の訴えがあり、府教委が弁護士会に人選を頼み、第三者委を置いていた。
府議会の公明、自民、民主系の3会派は今週、教育長の辞職勧告決議案を議長に提出した。しかし中原氏を任命した松井一郎知事は「罷免事由にあたらない」として続投させる方針だ。
大阪では「教委制度が形骸化している」という前知事の橋下徹大阪市長の問題提起を受け、校長公募制の導入など、首長主導で改革が進められてきた。
中原氏は橋下市長と早稲田大時代からの友人で、弁護士活動を経て民間人校長となり、13年度から教育長を務めていた。
おりしも来月から教育委員会は約60年ぶりに新制度に移る。非常勤の教育委員長と常勤の教育長を一本化し、新教育長は首長が任命する特別職となる。
責任をはっきりさせ、意思決定をしやすくするためだ。
大阪の改革はこうした趣旨を先取りしていたといえる。
だが、まずはその人に資質が伴うことが大前提だ。教育行政への見識や人格を総合的に判断する。その意味で首長の責任は重く、議会のチェック機能の強化もいっそう求められよう。
まともに議論もできない環境から施策が現場に下りてくるようなことになれば、影響を被るのは子どもたちだ。一刻も早く事態を収拾してもらいたい。
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