国の補助金を受けた企業から閣僚らが代表を務める政党支部への寄付が、相次いで発覚している。きのうは安倍首相や民主党の岡田代表らの党支部への寄付が明らかになった。

 首相が代表の自民党山口県第4選挙区支部は、2012年と13年に経産省所管の補助金交付が決まった2社から計62万円など、複数の企業から寄付を受けていた。ほかの閣僚の党支部にも同じような寄付があった。

 一方、民主党の岡田代表の党支部は、農水省の補助金が子会社に交付決定された企業から、11年と12年に24万円ずつの寄付を受けていた。

 政治資金規正法は、国から補助金などの交付決定を受けた企業は、通知の日から1年間は政治活動に関する寄付をしてはならないと定めている。ただ、試験研究や災害復旧など「性質上、利益を伴わない」補助金は除かれている。また、補助金のことを知らなければ、寄付を受ける側の責任は問われない。

 首相はきのうの衆院予算委員会で「指摘された企業からも『補助金は収益性を伴わないものだ』と明確に私の事務所に伝えられているものもある」と説明。また「そもそも知らなかったことについては、実際知らなかったわけだから、これ以上言いようがない」と語った。

 まるでひとごとだ。確かに法には、違法な寄付と知りながら受けてはならないとある。だが、数十万円単位のカネのやりとりだ。企業側には罰則もある。政治家が細心の注意を払うべきなのは当然ではないか。また、利益を伴わない補助金と見られても、違法でないかを最終的に判断するのは司法だ。

 補助金対象の企業の献金を一定期間禁じているのは、国との間に特別な関係を築くことを狙った不明朗なカネの流れを防ぐためだ。これを認めたら補助金が政治家に還流することになりかねない。それなのに政治家が「知らなかった」と言い通せばおとがめはなし。直ちに法改正されてしかるべきだ。

 そもそも企業・団体献金には、見返りを求めれば賄賂性を帯び、求めなければその目的を株主らから問われるという矛盾がある。こうした性格から生じる様々な問題を解消する根本的な対策は、やはり企業・団体献金を禁じることだ。

 仮に禁じても、役員らの個人献金に化けてかえって不透明になってしまうとの指摘もある。しかし、まずは思い切った改善策をとらなければ、政治への信頼は失われるばかりだ。

 ひとごとではない。