シリア:一時停戦は頓挫…親欧米反体制が国連提案を拒否
毎日新聞 2015年03月02日 20時14分(最終更新 03月03日 01時11分)
【カイロ秋山信一】シリア北部アレッポの親欧米反体制派勢力は1日、デミストゥーラ国連事務総長特別代表(シリア問題担当)が提示したアレッポでの一時停戦案を拒絶する方針を明らかにした。中東の衛星テレビ局アルジャジーラが報じた。アサド政権、反体制派の双方と緊張関係にある国際テロ組織アルカイダ系のヌスラ戦線も停戦には応じない構えで、一時停戦を本格和平の足掛かりにしようとしたデミストゥーラ氏の調停は、大きくつまずいた。
報道によると、反体制派主要組織「シリア国民連合」傘下の「自由シリア軍」などで作る親欧米の「アレッポ革命評議会」は1日、トルコで会合を開き、方針を決定した。会合後「アサド大統領の退陣を含む包括的な解決策を提示しなければ、デミストゥーラ氏とは協議もできない」と明らかにした。
アレッポ周辺では、アサド政権、反体制派、ヌスラ戦線が三つどもえの激戦を続けている。イスラム過激派組織「イスラム国」(IS=Islamic State)も2月下旬にアレッポ郊外から撤収するまで、侵攻の構えを見せていた。
国民連合幹部は2月下旬にトルコでデミストゥーラ氏と会談。国民連合側は、ISやヌスラ戦線が停戦に応じないことを理由に、一時停戦案に難色を示したという。
一方、国営シリア・アラブ通信によると、デミストゥーラ氏は2月28日にシリアの首都ダマスカスでムアレム外相と会談し、現地情勢を把握するための調査団をアレッポに派遣することで合意した。
デミストゥーラ氏は昨年7月に就任したが、これまでに目立った成果は上げていない。2月中旬にアサド大統領の続投を認めるような発言をしたため、反体制派から「アサド政権寄りだ」との反感を買っていた。