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【集団的自衛権の行使】新3要件で歯止め疑問 首相は抑止力拡大強調 衆院予算委集中審議


 安倍晋三首相と野党は14日の衆院予算委員会集中審議で集団的自衛権行使をめぐり論戦を交わした。首相は新たな「武力行使の3要件」が「厳格な歯止めとなる」と訴えたものの、民主党などは曖昧さを追及し疑問視。「内閣への白紙委任」になると懸念を突き付けた。行使容認で抑止力が拡大すると強調した首相に対し、野党から軍拡競争を招くとの指摘も出た。三つの論点を整理した。

 【歯止め効果】

 「3要件は世界で最も厳しい。きっちりとした歯止めだ」。首相は審議で、新3要件がいかに自衛隊の海外展開を限定するか力説した。
 連立を組む公明党を説得するかぎとなった新3要件は、他国への攻撃でも国民の権利が根底から覆される「明白な危険」がある場合、必要最小限度の実力行使を認める内容だ。

 首相は恣意的な判断ができないことをアピールするため、審議で新たに「攻撃国の意思、能力、事態の発生場所、規模、態様、推移などの要素」「わが国に戦禍が及ぶ蓋然性」「国民が被ることとなる犠牲の深刻性、重大性」を「明白な危険」を判断する際の基準に挙げた。

 だが民主党の岡田克也元代表が具体的なケースでただすと3要件の曖昧さが露呈した。首相は中東地域のシーレーン(海上交通路)に機雷が敷設され世界経済が打撃を受けた場合や、他国による対米攻撃など日米同盟が深刻な影響を受ける場合も3要件に当てはまる可能性に言及。岡田氏は「3要件は一見厳しいが、経済的苦境や同盟関係(への影響)でも読めれば、何の限定もしていないに等しい」と舌鋒鋭く批判した。

 【抑止力】

 なぜ集団的自衛権行使が必要なのか―。首相はこの素朴な問いに対し、中国の海洋進出や北朝鮮の核ミサイル開発などを踏まえ「切れ目のない対応を可能とする国内法制を速やかに整備し、争いを未然に防ぐ力、抑止力を高めていくことが必要だ」と説明した。「地域の平和と安定を保つ」方策だとの理屈だ。

 これに対し民主党の海江田万里代表は緊張関係にある国同士が互いの警戒感から軍備増強の連鎖を起こす「安全保障のジレンマ」を引き合いに「抑止力万能主義になれば軍拡競争になる」と警告した。首相による靖国神社参拝に触れ、対中外交の努力を欠いたまま抑止力を強める危険性を前面に打ち出した。

 【地理的制約】

 「機雷掃海は受動的かつ限定的な行為だ。3要件を満たす場合には他国の領域内における武力行使であっても許容される」。岸田文雄外相は審議で他国領域での武力行使はあり得ると言明。地理的制約を明記しなかった閣議決定の内容より踏み込んだ。

 念頭にあるのはペルシャ湾・ホルムズ海峡で国連の集団安全保障措置に基づく機雷掃海への海上自衛隊の参加だ。「日本の石油の8割が通る」(首相)という同海峡の最も狭い部分は沿岸国の領海が重なる。

 岸田氏の答弁と「海外派兵はしない」と繰り返してきた首相発言との整合性について、行使容認に前向きな日本維新の会からも「機雷掃海は海外における武力行使ではないのか」(松野頼久国会議員団幹事長)と疑問の声が出た。

 機雷掃海を「受動的」と別扱いする「武力行使の使い分け」は国際的に通用せず、首相サイドも理論武装に苦心する。民主党の岡田元代表は「機雷除去から戦闘行為となる可能性は絶対にないとはいえない。国民にしっかり説明すべきだ」と格好の攻撃材料とした。

(共同通信)

2014/07/15 17:45

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