国連人権理事会:北朝鮮の人権侵害 日本が決議案を提出へ

毎日新聞 2015年03月03日 20時35分

 【ローマ福島良典】宇都隆史外務政務官は2日、スイス・ジュネーブの国連欧州本部で開幕した国連人権理事会の会合で演説し、北朝鮮による人権侵害に深刻な懸念を表明し、状況の改善を強く求める決議案を欧州連合(EU)と共同で提出すると述べた。北朝鮮に対して国際社会の圧力を強める動きの一環。

 北朝鮮の人権侵害を巡っては昨年12月、国連総会が国際刑事裁判所(ICC)への付託検討を安保理に促す決議を採択し、安保理で初の公式会合が開かれた。また、北朝鮮の人権状況を調査するため、国連人権高等弁務官事務所は現地拠点を近くソウルに開設する予定だ。

 宇都政務官は演説で、北朝鮮の人権状況に関する最近の国連での動きについて「国際社会の懸念を示すものだ」と指摘し、決議案への支持を各国に呼びかけた。決議案は19日までに提出され、27日までの会期中に採択される見通し。人権理は昨年3月の会合で、日本人らの拉致を含む北朝鮮の人権侵害を「人道に対する罪」と非難し、国際社会に行動を促す決議を採択した。

 2日の人権理会合ではケリー米国務長官が「北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)第1書記は自分に同意しない者を粛清している」などと指弾した。これに対して北朝鮮高官は「米国や日本から人権についてとやかく言われる筋合いはない」などと反論、日本の決議案提出を非難した。

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