福島第1原発:汚染水外洋流出 対策「すぐ必要と思わず」

毎日新聞 2015年03月03日 18時14分(最終更新 03月03日 19時15分)

インタビュー取材に答える東京電力福島第1廃炉推進カンパニーの増田尚宏・最高責任者=福島市で
インタビュー取材に答える東京電力福島第1廃炉推進カンパニーの増田尚宏・最高責任者=福島市で

 排水路は雨水を海に放水するために作られたもので震災前からあった。原発事故で飛び散った放射性物質が付いたがれきなどに雨が降れば、その汚染が排水路に流れ込んで海に出るのは当然起こる。止める手立てがなかなかない中の昨年1月、国に排水路が汚れていると報告した。(同年)3月には排水路を1年かけて掃除しなさいという指示を(国から)頂き、(排水路の汚染は)みんなの共通認識になったと思っていた。ところが清掃しても、線量が下がらないデータが出始めた。その時点で、みなさんにお示しすれば良かったが、原因を探すことに注力してしまった。結局、汚染源が2号機原子炉建屋の屋上と分かってから先月24日に発表した。

 −−問題の排水路は外洋につながっている。外洋に直接出ないような措置は検討しなかったか。

 昨秋から清掃を本格的にやっても放射能濃度が下がらない状況があり、昨年末ごろ、外洋に直接出さず、港湾内に排水路を付け替えることを検討するように指示した。ただ、「すぐにやらねばならない」と思っておらず、付け替えに至らなかった。

 −−昨春は、原発に流入する汚染前の地下水をくみ上げて海に流す「地下水バイパス」計画を巡り、漁業者と交渉中だった。汚染水流出はあえて公表しなかったのか。

 地下水バイパスが協議中なのは理解していたが、隠そうとしたわけでは決してない。思いが至らなかったからとしか言いようがない。

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