川崎・中1少年殺害事件に見る防犯カメラのあり方
昨今では、防犯カメラがいたるところに存在しているイメージがあるが、今回の事件現場周辺ではどうだったのだろうか?
■事件現場周辺の2つの監視カメラ
今回の事件現場になったのは、京浜急行・大師線の鈴木町駅付近。大手食品会社の工場及び関連施設が多数ある駅で、周辺には大型マンションや、昔ながらの商店街や住宅街がある落ち着いた街並みが広がっている。そのためか、事件現場の河川敷から、被害者の衣服が燃やされた公園まで、犯人グループが歩いたとされている経路を辿ってみたが、確認できた防犯カメラはあまり多くはなかった。
事件現場の河川敷直近には、工場の外周警備用と思しき防犯カメラ、行政が水門監視用に付けたと思われる監視カメラが確認できた。マスコミ報道を統合すると、このうちの外周警備用のカメラに、被害者を含めた4人の少年の姿が映っていたとされる。
他にも河川敷から被害者の服が燃やされていた公園に行くまでの約1kmほどのルートを辿ってみたが、工場のゲートに入るクルマを視認するためのカメラや、作業の安全監視に使われていると思われるドーム型カメラ、大規模マンションのエントランスに付けられたドーム型カメラが確認できた。その一方で、いわゆる通りを監視する街頭防犯カメラは確認できなかった。
マスコミ報道で、警察が1,600台もの監視カメラ映像を解析したと報じられたのは、事件現場周辺に限らず、加害者とされる少年グループの足どりの裏付け捜査をするために、より広範囲の防犯カメラを対象としていたのではないだろうか。
今回、実際に事件が起きた周辺の街を訪れ、歩いてみた印象はこれほどの凶悪事件が起きるような荒れた雰囲気は感じなかった。これまでは街頭を監視する防犯カメラの必要性がほとんどなかったのかもしれない。
この事件を受けて、各地域で街頭防犯カメラの設置を望む声は高まるかもしれないが、設置、運用・管理に一定のコストがかかるのは事実。近年、地方自治体、商店街、自治会などでの設置が増えている一方で、予算の確保ができずに設置を断念するケースも少なからずある。
そして、防犯カメラの映像が容疑者逮捕に貢献している報道がたびたびされていることもあり、今後は犯罪者側が防犯カメラに映ることを前提にして、カメラを避けたり、マスクや帽子などで顔を隠すといったことも増えてくるだろう。
近年では、監視カメラの技術も日々進化し、製品・サービスのバリエーションも飛躍的に増えてきている。そうした技術、製品、サービスを理解し、利用して、効果的な監視カメラシステムを運用していくことが重要になってくる。
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