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インディーズで注目を集め、昨年メジャーデビューしたテスラは泣かない。が、ミニアルバム『ONE』を3月4日(水)にリリースする。今作は変化球ではなく、今までの彼らの音を踏襲し、さらに磨きをかけたサウンド。そして今回インタビューに答えてくれた村上学(Vo/Gt)の切実とも言える言葉がつまった作品になった。

[メンバー] 村上学(Vo/Gt)
[取材・文] 伊藤啓太
[写真] 鈴木”もぐら”悠太郎

自分たちの音楽を鳴らすしか前に進む方法はない

――まずは昨年メジャーデビューしてからのことを聞かせて下さい。色々なイメージをしていたとは思いますが、実際現実のものになってどうでしたか?

村上メジャーデビューをするということで、明るい未来だったり、逆につらい出来事だったりを想像するじゃないですか。それが当たっていたり、全然当たっていなかったり。っていうのを何度も繰り返すっていうのが去年でした。去年はそういうことを1年繰り返して、そういう時間を過ごして。最終的に純粋に音楽がやりたくてメジャーデビューしたんだっていうところにもう1回戻りましたね。

――様々な葛藤があった1年だった。

村上学(Vo/Gt)

村上そうですね、葛藤っていう言葉が非常に合うかもしれないですね。いろんな葛藤と向き合いながら、でもやっぱり自分たちの音楽を鳴らすしか前に進む方法はないというところに落ち着いて。その時間を経て今作ではしっかり自分たちの音をパッケージングできたなと思います。

――そういった感覚はメンバー全員で共有できているんですか?

村上一緒だと思いますね。たぶんみんな同じことを感じてるんだろうと思うし、そう思った時はできるだけメンバー4人だけでミーティングをするんですけど、けっこう同じことを考えています。

――メジャー1stアルバムとなった前作『TESLA doesn’t know how to cry.』は今思い返すとどんなアルバムでしたか?

村上当時のプロモーションでも”名刺代わりの”っていう言葉を何回も使ったんですけど、今考えてもほんとに名刺代わりの1枚だったなと思います。あれを投下することで、たくさんの人に”テスラは泣かない。”の音楽はこういうことですっていうのを知ってもらえたし、今でもあれが僕らの最初のアイデンティティーの形だったと思います。

自分が思ってることを真っ直ぐに伝えなきゃ

――今作『ONE』の制作はいつからスタートしましたか?

村上「Imagination Gap Ground」(M-4)と「Tuesday」(M-5)はインディーズの時に自主制作で出してたCDに収録されていたもので、他の曲は前のアルバムのレコーディングが終了してから作り始めました。

――今作はミニアルバムという形式ですが、なにかコンセプトがあって作ったものなのか、今のテスラは泣かない。を切り取った作品なのか。もしくはそのどちらもなのか。どうでしょうか?

村上学(Vo/Gt)

村上どちらもですね。コンセプトがすごいはっきりしてるのは、「国境はなかった」(M-1)、「MOTHER」(M-2)、「メロル」(M-6)、「one」(M-7)。これは同じテーマについて歌っていて、『ONE』という木があったらその枝の役割を成しています。それに加え以前からある楽曲にリアレンジっていう形で、残り2曲も入れました。

――この作品と前作を比較すると、村上さんの言葉に変化があるなと思いました。焦燥感に近いヒリヒリした思い。言葉の重みももちろんですが、明確な言葉でわかってもらえるように、わかってもらいたいという気持ちが強くなったのかなと。

村上その通りですね。自分が東京に来て人との距離感、価値観がめちゃくちゃ変わったんですよね、それと2014年がすごくそういうことを考えさせるニュースがとても多くて、これから世界は変わっていくんだろうなって思ったんです。その時に、28歳の自分が、今の段階で思ってることを歌詞にしなければと思って。焦燥感っていうのが合ってるのかもしれないんですけど、ちゃんと自分が思ってることを真っ直ぐに伝えなきゃなという気持ちがありました。

――その気持ちがすごく伝わりました。

村上今までは例えばAという歌詞を書いた時に、BとかCっていう風に解釈してもらってもいいし、それが音楽を聴く楽しみだと思ってたんですけど。今回に関しては「いや、Aなんだと僕は思うんです」っていうのはちゃんと伝えたいというのは、変わったところですね。

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伊藤 啓太
  • 伊藤 啓太
音楽好きの家庭育ちの次男。某CD屋からスタートし事務所、ライブハウス、音楽誌、流通、イベント制作と渡り歩いた業界屈指の決定力のない器用貧乏。
  • 鈴木 "もぐら" 悠太郎
1986年 神奈川県生まれ 通称"もぐら"
ライブハウスでの撮影をはじめ、2013年にはFUJI ROCK FESTIVALや朝霧JAMといった大型フェスの撮影も担当するなど活躍の場を広げている。またライブや音楽イベントのみならず、風景やポートレートなど幅広く撮影中。