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わたしは今、絶体絶命の危機である。だが目の前のこの状況を説明する前に、島を散策した結果を簡潔に言おう。
結論。人っ子一人いなかった。つまり無人島である。分かりきっていたことだけどね!
それでは、わたしの目の前の状況、というか周りの状況を説明しよう。
四方八方、竜に囲まれている。
実に分かりやすい説明だ。単純明快、この上なく簡潔かつ完璧にまとめている。
ああ、十七歳にしてわたしの人生詰んだ。さようなら、我が愛すべき地球よ。わたしは異世界で天に召されます。
なんだか悟りの心境である。達観した仙人のごとき心持ち。もう思い残すことはない。いや、本当はいっぱいあるけど。だけどもういいよ。
そうして静かに目を閉じて、さあ来い! とばかりに終わりを待つ。けれど一向にばくりと食べられる気配はなかった。
わたしは不思議に思い、そろそろと瞼を上げた。やっぱり竜達に去る気配はない。けれど敵意や害意はなくて、むしろ好奇心いっぱい! って感じで凝視されていることに気が付いた。
その事実に余裕を取り戻し、ほっと息をつく。そしてわたしも彼らを観察することにした。
龍ではなく、竜と表現したのにはちゃんと理由がある。東洋の大蛇のような姿ではなく、いわゆる西洋の竜だった。背に翼があるから、種類的には翼竜とかそんなところだろう。鱗は銀色というよりは、鉛色で、黒味が強い。
瞳は空の淡い水色。とても穏やかで優しい目をしている。彼らはきっとわたしに危害を加えない。なぜか確信できた。
「ええと……こんにちは?」
とりあえず挨拶をしてみる。まずは礼儀を尽くすことから始めなくては。自分でもよくわからんけど。
「先ほど異世界から来たところで、身寄りがなくて困っているので、ここに住まわせてくれると嬉しいです」
すると竜達は一斉にコックンと頷いた。
え? いいの?
ぱちぱちと目を瞬く。竜達の中でも一際大きな巨体を持つ竜が、のそりと輪から外れてわたしに近づく。どし、どし、どし。そして見上げるわたしの頬を、ぺろりと舐めた。
「んにゃ」
先ほどから奇声ばかり上げている気がする。花盛りの乙女として、それはいかがなものか。もう少しばかり、女の子らしさが欲しいような。
今度は別の竜にすりすりと頬ずりをされながら、わたしはへにゃりと笑った。
「よろしくね、竜さん」
こうして彼ら竜達との無人島生活が始まったのだった。
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