鶴田文学『花ひら蕩ろり』
両親、そして幸の恋の在り方を肯定しなければ、自己もまた肯定できないすずの複雑な心境が描かれていますが、“じっとはしていられない”、つまりは自己肯定の内に生きなければならないということですなぁ。
さて本日は、鶴田文学先生の『花ひら蕩ろり』(コアマガジン)のへたレビューです。なお、先生の前単行本(初単行本)『好きにしていいよ?』(同社刊)のへたレビューもよろしければ併せてご参照下さい。
しっとりとした雰囲気を共通させつつ、話の明暗の滲ませる作劇と、ふっくらもちもちボディの蕩けるエロシーンが楽しめる作品集となっています。
1話・作当りのページ数は20~30P(平均22P強)と標準的な部類。どちらかと言えばエロメインの構築であり、肢体の肉感もあってボリューム感のある濡れ場となっており、軽めのシナリオはその脇を固めています。
【小技を効かせつつ穏やかに紡ぐ恋模様】
前単行本と同様に、収録作には明暗の幅があり、あっけらかんと明るい姉弟エッチを描く短編「あねきゅーと」から、多少ダークな香りのする奥さん不倫エッチな短編「宿り道」まで存在。
どちらかと言えば、明るい雰囲気の作品が多く、修学旅行でのドタバタ模様が少年少女へのセックスへとつながる連作など、若さ故の性衝動の“勢い”を感じさせる作品が多いのは、青春モノとしての美点でしょう。
また、エロエロお姉さん達による誘惑エッチな短編「あねきゅーと」や「大きな声はおナカから」などは、更にエロ優先でありますが、これまた初心な少年がエロの熱に戸惑いながらも染まっていく流れなどに、平穏ではありつつちょっと妖しげな雰囲気を沁み込ませているのは○。
お姉さんキャラがショタ少年に女装させて~という冒頭展開から彼女の妄執がじわっと沁み出るラストとなる短編「恋かさね」や、不倫モノとしての重苦しさを回避しつつも、夫を裏切ることへの躊躇いとそれ故に高まる興奮を静かに感じ取らせるラストの短編「宿り道」など、ほんのりダーク系の作品でも雰囲気の調節に巧さを感じさせます。
ワン・アイディアの面白さや軽快でハイテンションな展開といった、メガストア系列におけるスタンダードな作劇の特長とは趣を異にするスタイルであり、良く言えば穏やかでいてしっかり旨味のある作劇、悪く言えば地味で即効性のある面白みに欠ける作劇と評し得ます。
【衣装面も多彩なJKヒロイン&アダルト美人達】
ヒロイン陣は、女子高生級の美少女さんと20歳前後~30歳手前程度と思しきアダルト美人とで構成されており、そこに連作「だって怖いんだもん」「だって恋なんだもん?」に登場するローティン級従妹が加わります。
主力の2タイプの前者は、M気質のあるメガネっ子や純情ガールに小悪魔系な女の子と性格面での差異を付け、後者に関してはおっとり天然お姉ちゃん、ほんのりSっ気のある女性教師などキャラ設定にも多彩さを付与しています。
加えて、少女間のガールズラブ的な感情が描かれたり、女装少年を投入したりと、流行りのキャラ要素を適度に取り込んでいる感があります。
なお、ヒロインの設定やシチュエーションに併せて衣装をチョイスしている分、意外に着衣面での多彩さがあり、清楚なブラウス+タイトスカート、セクシーランジェリーにブルマ体操服、スクール水着(もちろん旧スクだ!)、学校のジャージ等々、割合に定番なものを中心に投入しています。ちなみに、黒髪ヒロインの頻度が圧倒的に高いのはこの作家さんらしい点。
前単行本に比して絵柄の安定感は十分に高まっており、表紙絵とほぼ同クオリティ。オサレ感のある端正な絵柄とは異なり、適度に野暮ったさも感じる漫画絵柄であり、好みは多少分かれる可能性はありますが、キャラ造形とはよくマッチしており、かつ温かみのある絵柄と言えます。
【パワフルでありつつ穏やかさも残す熱々な着衣セックス】
作劇面で一定の繊細さを示す一方で、十分な尺を設けた上で十分な力強さを感じさせるセックス描写をガツガツと叩き込んでくるエロシーンは、いかにもメガストア系列らしい要素。
上述した作劇とも関連しますが、特にエロ展開序盤において、男女いずれか一方が性行為の主導権を握っているケースが多く、性行為を介した“融和”によって、双方の能動性が徐々にバランスを取れていく流れをスムーズに展開しています。
ち○こピストンを繰り出しながら、舌を絡め合うキスや互いに肢体をぎゅっと抱える抱擁を描くなど、恋愛セックスとしての描写で重要な男女の体の重なり合いに一定程度の重きを置きつつ、男性の体躯の存在感を減じてヒロインの肢体全体を各コマの中心に据えるスタイルが基本という印象。
作劇と同様に、演出面を含めたエロのインパクトが特段に強いわけでもなく、着衣ずらし挿入などの趣味性の光るコスプレH以外に実用面でのキラーコンテンツに欠けるきらいもありますが、抽送シーンにおける肢体の躍動感の表現や、結合部アップの構図と肢体全体の構図の適切な織り交ぜ方、描写の連続性に配慮した描写&コマ配置など、細やかな部分でしっかり詰められているのは大変に好印象です。
稀に透過図等を絡めますが、1Pフルを基本の分量として描かれる中出しフィニッシュでは、絶頂の快楽の波に女体を震わせるヒロインの全身を描写しており、結合部見せ付け構図に必ずしも拘泥しないのはこの作家さんらしい特徴でしょう。
「エロ薄じゃ困るけれど、過激なエロ演出が目白押しなのは苦手だなぁ」という方は結構いらっしゃると思うのですが、そういったご嗜好の方には結構お勧めであり、明暗の幅がありつつ穏やかにまとえる作劇も親和性が高いと考えます。
個人的には、メガネ美人な音楽教師さんに特別居残り個人指導(もちろん、性的な意味で)な短編「大きな声はおナカから」が抜き的に最愛でございます。
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