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 沖縄県の石垣島などだけに分布するヤエヤマイシガメについて環境省は3日、ワシントン条約に基づき輸出を原則禁止にする方針を明らかにした。これまで絶滅の可能性は低いとされ、食用やペット向けに輸出されていたが、昨夏の調査で危機的な状況が分かったという。同条約にもとづき、国内の陸上動物が輸出規制されるのは初めて。

 ヤエヤマイシガメは、甲羅の長さが20センチ以下の中型種で、湿地や田に生息して魚や陸上植物の葉などを食べる。これまでは森林にもすみ、10万匹以上いると考えられていた。しかし、昨夏に環境省として初の生息調査をした結果、森林にはすまず約3万匹しかいないことが分かったという。

 イシガメ属は2013年6月、野生生物の取引を規制するワシントン条約で、商業取引に輸出国側の許可が必要な扱いになったが、国は特に制限していなかった。ヤエヤマイシガメは13年6月以降だけで6千匹が輸出されるなど乱獲されているという。輸出先は香港が中心で、1匹6千~3千円で取引されている。中国本土で、健康に良いとして食用の人気があるという。

 専門家らの審議会をへて、新年度中に輸出規制をかける。同省の担当者は「出遅れた面があるが、急ぎ対策して減少に歯止めをかけたい」と話している。