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電力・ガス10兆円市場を開放 分社化義務付け
電気事業法改正案を閣議決定

2015/3/3 11:05
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 政府は3日、2020年に電力9社の発送電を分離し、都市ガス3社にも22年に導管部門を分社化するよう義務付ける電気事業法などの改正案を閣議決定した。家庭向けの電気料金を国が認可する規制も撤廃する。電力・ガス市場に異業種が参入しやすくなり、地域独占が続いた約10兆円の家庭向け市場の開放は総仕上げに入る。料金の引き下げやサービスの多様化を促す狙いだ。

 政府は改正案を近く国会に提出し、今通常国会での成立を目指す。宮沢洋一経済産業相は同日の閣議後の記者会見で「エネルギーをどこから買うか消費者が選ぶ時代になる。安倍政権の成長戦略の柱として改革を進める」と強調した。

 改正案の柱は電力とガスの分社化義務付けで、電力は20年4月に送配電部門を分社化するよう求める。送配電部門が大手電力にとどまれば、送配電の利用料が高止まりして新規参入を妨げる懸念があった。都市ガスは17年に家庭向け市場を含めて全面自由化し、22年4月に東京、大阪、東邦の大手3社の導管部門を分社化する。

 電力小売りの参入自由化は2000年から段階的に進んできたが、昨年の電気事業法改正で16年から家庭向けも含めて全面自由化することが決まっている。東京都の家庭の場合、電気の購入先は東京電力に限られてきたが、16年の全面自由化後は新規業者などほかの電力会社などから自由に選べるようになる。

 今回の改正案では、料金の認可規制を20年4月以降に撤廃することを盛り込んでおり、地域独占だった家庭向けの電気供給は、料金やサービスなどが大幅に多様化する可能性がある。例えばガス会社が電力に参入すれば、電力とガスをセット料金にしたサービスが展開できる。住宅メーカーが住宅購入者に割安で電力を供給するサービスなども可能になる。

 政府は1995年以降、大型工場など大口向けを皮切りに電力と都市ガスの自由化を進めてきた。現在の自由化率は家庭向けなどを除いて電力が62%、ガスは64%だ。家庭市場は最後まで電力大手やガス大手による地域独占が続いていたが、16年には約8兆円の家庭向けの電力市場、17年には約2兆円の同ガス市場が自由化され、改革は総仕上げの段階に入る。

 11年の東日本大震災以降に全国の原子力発電所の運転が相次いで停止し、家庭向け電気料金は震災前に比べ約2割、企業向けは約3割上がった。ガス料金も欧米に比べ高い水準が続いている。政府は電力とガスの相互参入や異業種の参入を促し、競争を活発にすることで、エネルギー料金の引き下げにつなげる考えだ。

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宮沢洋一、都市ガス、ガス、東京電力、電力、エネルギー

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