日本は沈む船、アベノミクスに期待できず-ロイ・スミス氏
2015/03/03 14:59 JST
(ブルームバーグ):日本のバブル崩壊を予想したことで知られるロイ・スミス氏は「日本は沈みも浮きもしない船だ。沈みつつ、どこかに早く行きつくことはない」との見方を示した。
スミス氏は現在76歳で、ニューヨーク大学経営大学院で教授を務めている。ゴールドマン・サックス・グループのパートナーだった時に、金融超大国としての日本の上昇は終わったとのコラムを執筆した。「1990年には誰も私の意見に賛成しなかった。私は少なくとも一つの予想を的中させた」と述べた。
スミス氏は先週、電話インタビューで「私はアベノミクスに多くを期待していなかった。米国の貯蓄率が日本を上回っていることはショッキングだ。この多くは人口動態で説明できるのではないか」と指摘した。
日本は「ある種のたそがれの均衡」を維持できるとの見方を示し、「これは深淵に沈没するわけではない。日本は低インフレ、景気停滞のある種の安定点を確立したようだ」と語った。
スミス氏は「日本はわれわれが考えているほどデフレ問題に苦しんでいないようだ。今の状況に満足しているように見える。経済について非常に懸念している兆しは見えない」としながらも、「日本が気になるのは、成長エンジンが再始動できないと、米欧も将来、日本のようになりかねないからだ」と懸念した。
中国が米国を抜いて世界一の経済大国になるとの予想については、見当違いだとの見方を示した。スミス氏は「今日の中国の弱点はかつての日本の弱点に酷似している」とし、リスクとして不良債権、行き過ぎた株価、バブル気味の不動産市場を挙げた。
記事についての記者への問い合わせ先:香港 Enda Curran ecurran8@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先: Brett Miller bmiller30@bloomberg.net 淡路毅, 上野英治郎
更新日時: 2015/03/03 14:59 JST