アリババ傘下の通販サイト「淘宝(タオバオ)」で商品を目立たせる方法の1つは広告枠の購入だ WSJ

 中国浙江省杭州の起業家、クイさんは、中国の電子商取引最大手、阿里巴巴集団(アリババグループ)のウェブサイトで販売する髪飾りや装飾品がもっと客の目に触れるようにしたいと考え、偽の注文を思いついた。

 つまり、金銭を支払って客になりすましてもらう「サクラ」だ。そうすることで売り主は販売量をかさ上げし、理論的にネットの売り場で自らの地位を引き上げることができる。オンライン市場では、そうした販売量の多い好実績の店を目立たせることが多い。

 売り主は通常、サクラに注文する製品の料金と手数料を支払う。売り主は受注後、空箱や価値のない安物を詰めた箱をサクラに配送し、サクラはそれを受け取った後に製品を称賛するレビューを書く。

 一種の虚偽広告とみなされるこのような行為は米国やカナダでは禁止されている。中国の販売元はこうした行為が罰金の対象となり、営業が制限される恐れがあることに気づいている。それでもクイさんが偽注文に依存しているのは、自分の売る製品を目立たせるには他に方法がないと考えたためだ。

 アリババは昨年9月にニューヨーク証券取引所(NYSE)で250億ドル(3兆円)の新規株式公開(IPO)を実施しており、サクラの存在は米規制当局のさらなる監視を招くリスクがある。また、アリババのサイトでの実際の商品取引量にも疑問が及ぶ。アナリストはアリババの取引量を基に同社を世界最大の電子商取引プラットフォームだとしている。アリババは偽取引を容認していないと述べ、会計報告の商品取引額から偽取引分を取り消すと説明している。アリババの2大ショッピングサイト「淘宝(タオバオ)」と「天猫(ティーモール)」の2014年3月期の商品取引額は1兆6800億元(約33兆円)だった。

関連記事