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これも“イスラム国”テロの余波? 「戒律」めぐり、イスラム教徒同士の対立も……- 日刊サイゾー(2015年3月2日21時00分)

 都内の繁華街で、イスラム教徒同士の対立が起こっている。

「あいつらは風俗に出入りして女性を金で買うし、酒も飲む。快楽に溺れ、戒律を踏みにじっている」

 キャバクラやスナックが並ぶ東京の歓楽街・錦糸町では近年、中東系の住人が増えており、現場を行き交うイスラム教徒の間では、公の場での飲酒や婚外セックスなどイスラム教で禁じられている行為を堂々と行う者が目立っている。これに怒るのが厳格な教徒で、なんと襲撃事件まであったことが分かった。

 イエメン出身のFさん(32)は来日1年半、昼間は飲食店の手伝いで、夜は風俗店やキャバクラ店の客引きを行っている。母国で3年間の日本語学習をしてきたこともありスムーズな日本語を話すが、既婚者ながら風俗店にもよく出入りし、ナンパや合コンをすることもあるという。仕事外では酒を飲み、中華料理店では豚肉料理を注文していた。

「ここは日本。自国なら戒律は守るけど、ここでは関係ないよ。同じ考えの人の方が多いし、私は稼いだ金を母国の親族に送金していて、自国のために頑張っている」とFさん。厳格な教徒から非難の声があることについては「昨年、複数の男に袋叩きにされた」と被害を訴えた。

 被害は昨年12月、同じ中東出身者3人で集まって酒を飲んでいたところ、顔見知りの中東系の集団に襲撃され、ケガを負ったという。

「自分もテロの被害者だ。日本に来ても戒律を守っている連中は過激になっていて、日本人と同じように振る舞って頑張っている私たちを攻撃する。イスラミックステート(IS)の連中と変わりない!」(Fさん)

 対して、在日イスラムのコミュニティ支援者で、飲食店経営者・Aさんは「神は、どこにいるかで人を区別しない。ここが自国でも他国でも関係ない。戒律は守るべき」と反論し、Fさんのような教徒を批判する。

「もちろん暴力行為をしたことはないし、奨励したこともないけど、同じイスラム教徒として恥ずかしい」と話す。

 ただ、錦糸町のバー経営者によると「情勢的には、自由を謳歌するイスラム教徒の方が多い」という。

「そもそも客引きをやっているような連中は、違法行為なのに、警察が通訳などの手間と費用を避けるため野放しにしていることも問題の一因。このあたりじゃパトロールすら見かけず、調子に乗った者たちが増長して日本人女性を強引にナンパしたり、やりたい放題」(同)

 同じイスラム教徒同士で対立するのは、まるで中東の騒乱の縮図のようだが、AさんもFさんも共通するのは、テロ組織については頭を悩ませているということだ。

 Aさんが「すでにテログループの人間が日本にいるという話があって、もしも自分たちの人脈から問題を起こす者が出たら商売は終わり。街を追い出されてしまう」と言えば、Fさんも「テロリストがいたら、標的にされるのは日本人よりも私たちかもしれない。アラビア語の掲示板で“海外で遊び歩いて戒律を破る連中がいる”という情報交換がされているところがあって、そうした者に“裏切り”として制裁を加えるべきだなんて意見が書かれていた」と身をすくめる。

 “イスラム国”という過激派の呼び名から、イスラム教徒への偏見が強まる中、教徒同士の間にも疑心暗鬼な空気が漂ってしまっているようだ。
(文=ジャーナリスト・片岡亮)


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