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ロシアに漂う閉塞感を憂う

2015/3/3付
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 ロシアのモスクワ中心部で、有力な反政権派の野党指導者であるボリス・ネムツォフ氏が銃撃され死亡した。極めて悪質で卑劣な犯行だ。ロシアの捜査当局には暗殺事件の迅速かつ徹底した捜査と真相究明を求めたい。

 同氏は民主派の政治家として知られ、エリツィン政権下では第1副首相を務めた。強権的なプーチン政権には批判的で、近年は反政権派の急先鋒(せんぽう)として「プーチンなきロシア」を掲げて街頭デモなどを主導してきた。

 米国のオバマ大統領は「残酷な殺人を非難する」との声明を発表した。プーチン大統領も哀悼の意を表すとともに、「事件には挑発的な性格がある」として徹底捜査を指示したという。

 ネムツォフ氏は政権が否定するウクライナ東部へのロシア軍介入の証拠を示す報告書を準備していたとされ、暗殺事件への政権側の関与を疑う声も一部に出ている。ただ、ロシアでは政権が主要メディアを実質支配しており、野党勢力の主張が国内世論を動かすことはほとんどないのが現状だ。

 事件の背景はともかく、改めて懸念されるのはプーチン政権に批判的な言動を封じ込めようとするロシア社会の風潮だろう。政権はこれまで、あの手この手で反政権派の選挙参加を阻止したり、主要メディアの報道を制限したりしてきたが、国民の間で大きな不平や不満にはつながっていない。

 むしろウクライナのクリミア半島を編入して以降、愛国心を鼓舞したプーチン大統領の支持率は80%を超えた。原油安と欧米の経済制裁は市民生活にも打撃を与えつつあるが、国民の批判の矛先は政権でなく欧米に向いている。

 国民の多くは官製メディアの情報を頼りに政権擁護に傾く。都市部の中間層など政権に批判的な人々も大勢は政治と距離を置き、だんまりを決め込んでいる。こうした社会を覆う閉塞感が政権批判を許さぬゆがんだ愛国心を育み、ネムツォフ氏の暗殺につながったとすれば、極めてゆゆしきことだ。

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