女子フィギュアスケートの浅田真央選手(24)や歌舞伎俳優の坂東玉三郎(64)らが主演するコマーシャルで、知名度が急速に浸透しているマットレスパッドの製造販売会社「エアウィーヴ」。破綻寸前のプラスチック関連機器メーカーを大変身させ、年商100億円を超える成長企業に育て上げたのが、この高岡会長だ。経営学修士(MBA)を持つエリートだが、理論だけではなく実践にも力量を発揮してきた。次に目指すは1000億円企業である。 (清丸惠三郎)
−−ブランドの浸透とともに、業績も急成長軌道をたどっています
「売り上げでみますと、前々期54億円、前期93億円だったものが、今期は115億円まで行きます」
−−商品の魅力とは別に成功要因は
「やはりマーケティングの成功です。マーケティングで重要なのは売れる仕組みづくりで、これができたことが大きい。中でもブランドを短期間で構築できたことですね」
−−ブランディングは口で言うほど簡単では…
「おっしゃる通り。一つはスポーツでは浅田真央さんや錦織圭さん、また歌舞伎俳優の坂東玉三郎さんなど一流の方にブランドアンバサダーとして登場してもらえた。彼らは有名なだけでなく、多くの人に愛されており、説得力も持っている。これが大きかったですね」
「もう一つ、事業を開始して4年ほどは五輪候補選手のトレーニング施設である国立スポーツ科学センター(JISS)などにエアウィーヴを置いてもらい、寝具の性能に敏感なスポーツ選手の評価を得る努力をしてきました。これにより有力アスリートの支持が得られるようになった。一方で多くの人が憧れる有力航空会社のビジネスやファーストクラス、有名ホテル、一流旅館に採用してもらえたこともブランディングに有効でした」
−−しかし、ここに至る道は平坦ではありませんでした
「私はおやじの跡を継いで配電機器の会社を経営していますが、伯父から『自分の創業した合成樹脂の射出成型機メーカーを引き受けてくれ』と頼まれた。これがエアウィーヴの前身です。機器メーカーとしての寿命は尽きていたが、造る樹脂素材には見るべきものがあり、ベッドのクッション材などに使えるのではないかと考えたのです。で、BtoB(法人相手)で寝具メーカーなどに売り込もうとしましたが、全然売れなかった」