大越
「こちらご覧ください。
長い列ですが、列を作っているのはプロ野球・広島、カープファンの皆さんなんですね。
ところが、この場所はヤクルトの本拠地、東京の神宮球場なんです。」
井上
「こちら、巨人の本拠地、東京ドームでの平均観客動員数のランキングです。
東京ドームで最も観客を集めるのが広島戦なんです。
阪神戦などよりも多いという、私もびっくりのランキングなんですけれども、今、広島から遠く離れた首都圏でカープファンが増えています。
カープでなければならない理由とは。」
大越
「こちらご覧ください。
長い列ですが、列を作っているのはプロ野球・広島、カープファンの皆さんなんですね。
ところが、この場所はヤクルトの本拠地、東京の神宮球場なんです。」
井上
「こちら、巨人の本拠地、東京ドームでの平均観客動員数のランキングです。
東京ドームで最も観客を集めるのが広島戦なんです。
阪神戦などよりも多いという、私もびっくりのランキングなんですけれども、今、広島から遠く離れた首都圏でカープファンが増えています。
カープでなければならない理由とは。」
真っ赤に染まった一昨日(28日)の神宮球場。
初めてクライマックスシリーズ進出を決めたカープの雄姿を一目見ようと、スタンドはカープファンでいっぱいに。
話を聞いてみると…。
「出身は?」
会社員
「横浜です。」
「ベイスターズファンではない?」
会社員
「はい。」
「広島とゆかりは?」
会社員
「特にない。」
広島とは縁もゆかりもない人ばかり。
ようやく出会った広島出身の人も…。
大学生
「(広島より)正直言うと、神宮の方が盛り上がってる。
東京に来て勢いに圧倒された。」
こんな漫画も人気になっています。
東京に住む若い女性がカープにのめり込んでいく姿を描いた「球場ラヴァーズ」。
発行部数は30万部に上ります。
旅行情報誌「るるぶ」では、今年(2013年)12球団で初めてプロ野球チームに特化した「るるぶ広島カープ」を発行しました。
“るるぶ”営業担当者
「正直、巨人の方が…。
“広島”で売れるのかなと思ったが、東京ドーム近郊の書店が全国で一番売れているのが今の状況。
私も不思議…。」
核心:どんな時も 共に
平成3年、投手力を中心とする守りの野球でリーグ優勝を果たしたカープ。
しかし…。
それ以来、全球団で最も長い22年、優勝から遠ざかっています。
今、増えているのは、強かった時代を知らない若い世代のカープファン。
特に女性が多く「カープ女子」と呼ばれています。
関東でのカープ戦は、ほぼ必ず行くという大学生の中根瑛里(なかね・えり)さんです。
東京の“カープ女子” 中根瑛里さん
「最初から強ければ、応援しなくても勝手に勝っていくけど、カープが勝ったときは『声出したかいあったな』と感じられる。
“一緒に勝ってる”“一緒に戦っている”とすごい感じる。」
22歳、女子大生の部屋は、カープグッズで溢れんばかり。
東京の“カープ女子” 中根瑛里さん
「これなんかは、今、売ってないんですけど、女性専用で『鯉も良いけど、私やっぱり恋がしたい』っていうのが、カープファン女子にありがちな感じなのかな。」
ファンになったのは高校生のころ。
学校になかなかなじめず、放課後は1人で過ごす時間も多かったと言います。
そんなときに、姉に連れられて訪れた神宮球場のカープ戦。
立ったり座ったりを繰り返すカープファン独特の応援「スクワット応援」を初めて体験。
スタンドが一体となって声援を送り続ける雰囲気に魅了されたと言います。
東京の“カープ女子” 中根瑛里さん
「『隅の方で応援してよう』と思って行ったら、意外と『席入れてあげようか』と言ってくれる人が多くて。
第二の故郷、それくらいアットホームな球場が大好きになって、そこからがっつりカープファン。」
カープと自らを重ね合わせて応援するファンもいます。
通信会社に勤める塩澤駿(しおざわ・しゅん)さんです。
就職氷河期の中、ようやく内定をもらった会社に入って3年、営業ノルマの壁にもがく毎日です。
神奈川出身 塩澤駿さん
「今、生活するのに、いっぱいいっぱいに…。」
塩澤さんはカープの選手たちが、決して恵まれた環境ではない中、ひたむきに頑張る姿に共感すると言います。
原爆からの復興の象徴として生まれたカープ。
経営難に陥ったときは、市民がお金を出し合って球団を支援しました。
限られた資金の中、厳しい練習で生え抜き選手を育成し、数々の名選手を輩出してきました。
今でもカープの日本選手の平均年俸は、12球団中、11位。
高年俸で他球団から獲得した選手もいません。
そんな中でも、塩澤さんは同い年の前田健太投手がエースとしてチームを引っ張る姿に、刺激を受けてきました。
神奈川出身 塩澤駿さん
「環境のせいにせず、『自分でチーム勝たせる』、そういうのが勇気づけられる。
僕たちは『ゆとり世代』、大学入ったら『全入時代』、就職したら『氷河期』、常にマイナスな言葉がつきまとっていた世代。
カープの選手、頑張っているんだから、奮い立たせて、仕事につなげていければ。」
今年、16年ぶりにAクラス入りを決めたカープ。
その姿に塩澤さんは、諦めない気持ちを教えてもらったと言います。
神奈川出身 塩澤駿さん
「Aクラスのカープは初めて見た。
すごい強いチームに見える。
自分もこの先嫌なことがあっても、諦めずに頑張れることを教わった。
そういう所は生かしていきたい。」
勝っても、負けても…。
ファンはカープに声援を送り続けます。
井上
「私も広島局に勤務していた時代に、あの『スクワット応援』をしました。
隣の人と、知らない人とタイミングをあわせるというのが難しいんですけれども、そこから会話が生まれることもあって、すごく一体感があるので、それ以来、私、カープファンになりました。
初めてのクライマックスシリーズ、是非頑張ってほしいと思います。」