ニュース
2015年3月 3日
食べ物の健康への効果を、事業者が国の許可なしでうたえる「機能性表示食品」制度がまもなく施行される。業界は「ビジネスチャンス」と沸き、着々と準備が進む。しかし健康食品をめぐる消費者トラブルは多く起きており、品質や安全性が保たれるかを懸念する声もある。
健康食品の表示制度には現在も特定保健用食品(トクホ)と栄養機能食品があるが、そのどちらでもない「健康食品」も多く販売されている。健康への効果を明言せず、体によさそうなイメージに訴えて販売する手法が多い。
新たに作られる機能性表示食品では具体的な表現を検討できる。健康食品大手のファンケルは「科学的な根拠があれば効果を表示できる。粗悪品とは差別化できる点が大きい」と言う。味の素も「人への有用性の研究と安全性の確保に特に力を入れてきた。科学的根拠を多数持つ当社にとってはチャンス」と話す。
DHCは研究開発部門やマーケティング部門を横断するプロジェクトチームを発足させた。「新たに開発する商品や人気商品、販売促進に注力したい商品を検討する」という。動物や魚のコラーゲンを加工して食品メーカーに卸す新田ゼラチンは「素材の有効性を正しく理解していただく機会になる」と意気込む。
中小企業向けに自治体が支援する動きもある。愛媛県は機能性表示を検討している県内企業4社を公募。健康食品分野のコンサルティングを手がける「グローバルニュートリショングループ」に委託し、届け出書類作成などについて助言する事業を始めた。「いち早く取り組む方が販売面での差別化につながる。スムーズに対応し、夏をめどに商品化を目指す」と話す。
政府が新制度の参考にした米国では、表示根拠に開示義務がないことから根拠が不明確な商品が出回り、健康を害する消費者や死亡事例が出ている。グローバルニュートリショングループの武田猛社長は「1994年から業者責任での表示を認めた米国では、直後は15%近い市場成長率を記録したが、虚偽表示や品質問題が相次ぎ、急激に落ち込んだ。業界として襟を正していかねば」と話す。
2日に公表されたガイドライン案には健康被害を防ぐ仕組みも盛り込まれた。
この記事の続きをお読みいただくためには、アピタルのご購読手続きが必要です。
「朝日新聞デジタル」を有料購読中の方は、ご利用中のログインID・パスワードで
アピタルのコンテンツをお楽しみいただけます。
ご感想・ご意見などをお待ちしています。
ご病気やご症状、医療機関などに関する個別具体的なご相談にはお答えしかねます。あらかじめご了承ください。