“官制相場”の勢いが止まらない。日経平均株価は15年ぶりの高値に沸き、東京証券取引所の時価総額(市場第1部)も550兆円を突破してピークだったバブル期の9割の水準を回復した。
東京市場は”官製相場”にも強気一辺倒
そのけん引役は、ETF(株価指数連動型上場投資信託)を通じて株式の買い入れを増やす日銀や、債券から株式に運用をシフトしている世界最大の公的年金運用機関GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)とみられている。「アベノミクスが評価され始めている」(菅義偉官房長官)と、安倍政権はご満悦らしい。
ところが、肝心の投資家たちは意外なほど冷ややかだ。特に個人投資家はこのところ5週連続の売り越しとなっているほか、過去数年間の主役だった外国人の買いにもかつての勢いはない。
われわれの年金などで釣り上げる形となっている、いびつな“官制相場”を全員参加型の本来の相場に戻すには、実体経済の本格的な成長力回復という確かな裏付けが不可欠のはずである。
先週、久しぶりに取材をしてみると、東京市場は強気一色に包まれていた。
そうした雰囲気を象徴していたのは、米系大手のゴールドマン・サックス証券が木曜日(2月26日)に行った株式相場見通しの上方修正だ。同社は、「今年12月末の日経平均株価を2万1700円」と予測した。これは、先週末(27日)の終値(1万8797円94銭)から、さらに15.4%上昇するという強気の見方である。
強気で知られるアナリストたちも、いつも以上に強気だった。彼らの口からは、「20年以上にわたって苦難にあえいでいた日本経済がいよいよ本格回復する兆し」「チャートを見ると、株式相場は20年続いた下降局面から脱するというサインが出ている」と、威勢の良い言葉が次々と飛び出した。
では、いったい誰が、どういう動機で、あるいはどう算盤を弾いて、株式投資を積極化しているのだろうか。
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