海外日本人救出:自衛隊武器使用も 政府が5事例示す
毎日新聞 2015年03月02日 21時06分(最終更新 03月02日 22時33分)
自民党は2日、安全保障関連法案の整備に向けた会合を開き、海外でテロに巻き込まれた日本人を自衛隊が救出するための法整備などについて協議した。政府側は、邦人救出が想定される5事例を挙げて説明。武器使用についても権限を拡大させる方針を示した。
海外で邦人がテロ被害に遭った場合、現在は「輸送」に限って自衛隊派遣を認めている。ただ、武器使用は正当防衛などに限定されており、武装勢力などにより妨害された場合は説得するか、迂回(うかい)することになっている。
政府は、法改正で想定する邦人救出の例として(1)在外公館など集合場所に避難している邦人の救出に向かう途中で通行を妨害する武装勢力の排除(2)集合場所を取り囲んでいる群衆の排除(3)集合場所に移動中に連れ去られた邦人の救出(4)集合場所の在外公館が占拠され、人質となった邦人の奪還(5)邦人が多数乗っている航空機がハイジャックされて他国に着陸した場合の救出−−の5事例を示した。
そのうえで、(4)と(5)について「法律で認められる上限だ。必ずしも(能力的に)できるわけではない」と説明。武装勢力が説得に応じない場合は、威嚇射撃や任務を妨げる者を排除するための武器使用を認める考えを示した。
出席議員の一人は「(1996年に発生した)ペルー日本大使公邸人質事件のような事件での救出を可能にすべきだ」と人質奪還作戦を認めるよう求める政府の方針に賛同した。別の議員は「今のままでは警告射撃もできない。国際標準である任務遂行のための武器使用を認めるべきだ」と主張した。【飼手勇介、阿部亮介】
◇政府が提示した邦人救出の5事例
(1)邦人の集合場所に向かう途中を妨害する武装勢力の排除
(2)邦人の集合場所を取り囲んでいる群衆の排除
(3)集合場所に移動中に連れ去られた邦人の救出
(4)在外公館が占拠され、人質となった邦人の奪還
(5)邦人が多数乗る航空機がハイジャックされて他国に着陸した場合