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872号 掲載記事

<ヤンなでフィーバーから2年半> いまはサッカーに夢中です。 ~猶本光、田中陽子、仲田歩夢~

突然、狂騒に放り込まれて戸惑うばかりだった10代の終わり。
少女たちはずいぶん大人になって、いま真摯にサッカーと向き合っている。

 2011年夏、PK戦に及ぶアメリカとの激闘を制した日本代表「なでしこジャパン」は、女子ワールドカップを制して世界の頂点に立った。金色の紙吹雪が舞う表彰台で澤穂希がトロフィーを掲げたあの瞬間、彼女たちは確かに「世界一強いチーム」の称号を手にした。必然的に訪れたのは、取り巻く世界の大きな変化である。

 女子サッカーが国民的な関心事となるお祭りムードは、意外な余波を伴って拡大した。「なでしこ」の次なるヒロインは、20歳以下の日本代表に名を連ねたサッカー少女たち。「ヤングなでしこ」と命名された彼女たちの人気は、3位となった'12年夏のU-20W杯でピークに達し、中でも、田中陽子、仲田歩夢、猶本光の3人は美女アスリートとしてとびきりの脚光を浴びた。本誌『Number』で3人を取り上げたのも、ちょうどその頃だった。

INACでの3年間で34試合、田中は今季環境を変えた。

「覚えてますよ。お久しぶりです」

 あの頃と変わらないあどけない笑顔で迎えてくれたのは、ノジマステラのチームジャージに身を包んだ田中陽子である。この冬、彼女は国内屈指の強豪、INAC神戸から2部リーグに所属する同チームへ移籍し、自ら進んで環境を変えた。

 椅子に座ると一層小柄な田中に、まずはノートを手渡した。この2年半におけるバイオリズムを曲線で描いてほしい。そう伝えると彼女は、'12年夏のスタート地点を左上の高いところに置き、'14年を過ぎるまで緩やかに沈み続ける線を引いた。そこから少し上向いたところで、'15年を迎える。

「うーん、結構下がりましたね。ただ、今は少し上がっている感じです。移籍については、INACですごくいい経験をさせてもらったんですけど、環境を変えたほうが成長できるかなと思って決めました。ノジマは一番ピンときたというか、環境もいいし、監督もいいし、友だちもいるから、長い目で見て成長できると思って」

 JFAアカデミー出身のエリートとして加入したINACでの3年間、田中の出場機会はわずかな時間にとどまった。リーグ戦の出場は、3年間で34試合。今回の移籍も出場機会の確保を最優先に考えた決断と思われたが、本人はそれを否定する。

【次ページ】 試合を動かせる選手になれたら楽しそうだな、って。

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