インディーゲームにとって有望なプラットフォームは?【GDC 2015】

GDC 2015が開催。開催初日の3月2日には、tinyBuild Gamesのマイク・ローズ氏による“The Turning Tide: Independent Game Sales in 2015”が行われた。インディーゲームにとってもっとも有望なデジタルプラットフォームとは?

●2015年、インディーゲームがXbox Oneとプレイステーション4で成功するかが決まる

 2015年3月2日~6日(現地時間)、サンフランシスコ・モスコーニセンターにて、ゲームクリエイターを対象とした世界最大規模のカンファレンス、GDC(ゲーム・デベロッパーズ・カンファレンス)2015が開催。開催初日の3月2日には、tinyBuild Gamesのマイク・ローズ氏による“The Turning Tide: Independent Game Sales in 2015”が行われた。tinyBuild Gamesは、複数のタイトルを手掛けるインディペンデント(独立系)メーカー。今回の講演は、そんな独立系メーカーの視点から、2015年の有望なデジタルプラットフォームを分析するといった内容。ちなみに、GDCの初日と2日は、AIやe-スポーツ、フリー・トゥ・プレイなど、そのときどきの旬のテーマを切り取る形で“サミット”として、ひとくくりでセッションが開催されているが、この講演は“インディペンデント・ゲームズ・サミット”の一環として行われた。

 「インディー向けにゲームを作るだけでは成功しません。どのプラットフォームで出して、どう売るかが重要なんです」と口火を切ったローズ氏は、現時点における主要なデジタルプラットフォームであるニンテンドーeショップ、PC、モバイル、PSN、Xbox マーケットプレースの現状を分析。各プラットフォームの概略や販売規模などを紹介すると以下の通り。


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▲tinyBuild Gamesのマイク・ローズ氏。

■Wii U
・世界で累計920万台販売
・2014年に80本のインディータイトルがリリース
・値段は3~15ドル
・ディスカウントは、ほぼない
・実際の販売状況は、低:300~1000本、中:1000~10000本、高:10000~60000本
・フィーチャーされたら販売で成功するかもしれないが、数字的にはすぐに落ちてしまう
・値下げなどの施策が必要かもしれない
・ほかのプラットフォームよりは売れないが、Wii U向けに移植する価値はあると、開発者は見ている


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■ニンテンドー3DS
・世界で累計5041万台販売
・2014年に15本のインディータイトルがリリース
・もしかしたら、任天堂がストアで取り上げてくれるかもしれない
・値段は3~15ドル
・ディスカウントは、ほぼない
・実際の販売状況は、低:1000~5000本、中:5000~50000本、高:50000~20万本
・ほんのちょっとしたマーケティングでもセールスに影響し、収益が上がる可能性あり
・長いあいだ売れ続ける
・日本語版はたいがい期待以上のものが出ると思ってくれていい
・移植は少しコストがかかるかもしれない


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■PC(Steam)
・Steamのアクティブアカウントは1億2500万
・4500以上のゲームが販売
・2014年に1850以上が販売
・2015年には2500以上が控えている(毎日7タイトルがリリースされる予定)
・デジタルがセールスに大きな影響を与える
・実際の販売状況は、低:1000~10000本、中:10000~10万本、高:10万~300万本
・すごく売れるが、埋もれる可能性も高い
・バンドルにされてしまうことも多い
・Steam Salesのときに、とても売れる
・最初に回収がすごく期待できる


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■モバイル(iOS、Android)
・iOSデバイスの普及台数は8億台 2014年の新規iOSユーザーは1億3000万人
・143万のアプリがiOS向けに、121万のアプリがGoogle Play向けにリリース
(2014年は、iOSでは毎日500のアプリが、Androidでは毎日250のアプリがリリースされている)
・Androidは急速に成長しているが、やはりiOSのほうがセールスはいい
・実際の販売状況は、低:0~2000本、中:2000~30万本、高:30万~250万本
・すごい成功もあるが、数は少ない
・ほとんどのゲームは埋もれてしまう
・最初から安売りを考慮しないといけない
・アップデートをしたり、コンテンツを追加したり、値段を下げたりといった“リテンション”が重要
・AmazonがAndroid全体の10%のセールスを占める


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■Xbox One
・全世界で累計1000万台販売
・2014年に20本のインディータイトルがリリース
・値段は7~25ドル
・ID@Xboxプログラム使って、セルフパブリッシングが可能。
・開発者は、統一価格を煙たがっている
・実際の販売状況は、低:1000~5000本、中:5000~20万本、高:20万~未知数
・まだまだ成長過程でデータも全然ない
・今年が成功の命運を決めるかもしれない
・Xbox One独占ゲームが必要かもしれない


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■プレイステーション4
・全世界で累計1900万台を販売
・2014年に60本のインディータイトルをリリース
・値段は7~20ドル
・プレイステーションを通して、セルフパブリッシングが可能
・PS Plusでのクロスバイには可能性があり
・実際の販売状況は、低:1000~10000本、中:10000~30000本、高:30000~20万
・昨年のクリスマス商戦ですごく売れた
・PS Plusで大々的に取り上げられることで、可能性が広がるかも
・値段設定もけっこう変えられる


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 まとめとしてローズ氏の口からは、「開発者は、Wii Uで展開する価値はあると思っている」、「ニンテンドー3DSも考慮する価値はある」、「モバイルはものすごくリスキー。でも大成功する可能性もある」、「今年、Xbox Oneとプレイステーション4でインディーゲームが成功するかどうかが決まると思う。ただ、状況から見て、プレイステーションに軍配が上がるかな……」といったコメントが聞かれた。インディーメーカーにとって、展開の幅が広がるのはうれしいことには違いないが、どこで展開するかが成否を分けるだけに、悩ましい問題とも言えそう。そんな関心の高さを反映してか、講演はほぼ満席の人気ぶりとなっていた。