現代の平賀源内に会いに行こう~これからの広告コミュニケーションの行方を探る~

「企業は動画をどう使えばいい?」——HIKAKINに聞きに行く(上)

【前回のコラム】「「猪子さん、いま広告に何が必要なんだろう?」――チームラボに聞きに行く」はこちら

左からHIKAKIN氏、須田伸氏。

HIKAKINが商品紹介を始めたきっかけ

須田:今回の対談相手は、日本で一番有名なYouTuber「HIKAKIN」さんです。運営するチャンネルの総登録者数は500万人を超え、巨大なメディアと言ってもよいかもしれません。また、HIKAKINさんが登場するイベントには小中学生がたくさん集まり、若年層からはアイドル的な存在です。

HIKAKINさんは、さまざまな企業の商品やサービスを自分のチャンネル内で紹介したり、協賛を得て広告も行っています。今日は、HIKAKINさんがどうしてこれだけの支持を得るコンテンツをつくることができるようになったのかを探りながら、個人で広告ができる時代に企業は動画をどう活用すれば良いのかを一緒に考えていきたいと思います。よろしくお願いします。

HIKAKIN:よろしくお願いします!

須田:HIKAKINさんは、最近であれば「メントスコーラを口の中で封じれるか チャレンジしてみた!」や「ヒカキンはお酒に強いのか!? アルコール体質c試験パッチ使ってみた!」など、さまざまな商品を体験するという企画をやっています。こうした商品紹介を始めたきっかけは?

HIKAKIN:そうですね、僕がYouTubeにアカウントを開設したのは2006年12月になるのですが、最初の頃はヒューマンビートボックスのパフォーマンス映像をアップしていました。

そんななか、動画で生計を立てるには、コンテンツとして柱を何本か持つことが有利で、毎日続けることが大切だと聞き、さらに当時、人気を集めていたランキングトップの人たちが身の回りのことを何でも投稿する動画ブロガーだった。

商品紹介であればネタのハードルが高くなく、会社員をやりながら毎日続けられるなと思ったのがきっかけです。

須田:この商品は紹介する、こっちは紹介しないという、目利きはどうしているの?

HIKAKIN:最初は手探りで、美味しそうなプリンとか、自分が面白いと思うものを紹介していました。ただ、やっていくうちに「これは再生数が伸びるな」といったことが分かるようになって、みんなが喜ぶ商品ということも意識するようになりました。

須田:紹介する商品は、特別なモノというよりも、ちょっと面白いモノ?

HIKAKIN:そうですね、ぶっ飛んだモノよりも、誰もが買えるということを意識しています。ファンには僕を身近な存在と感じてもらいたいのです。

そこら辺にいそうな「近所のイケてる兄ちゃん」みたいなイメージでしょうか。

須田:投稿するうちに、だんだんユーザーの気持ちを意識するようになった?

HIKAKIN:はい、次第に意識するようになって、いまは昔だったら考えないことまで考えるようになりました。テレビで過激なことができない、って言われているのがよく分かるような気がします(笑)

見る人が少なかった2年ぐらい前だと誰も批判しなかったことでも、最近は子どもも見ているから止めたほうがいいんじゃないかと、自制するようになりました。一方で、動画ブロガーの数が増えてきて、ハードルは常に上がっています。

ついこないだも不二家「カントリーマアム」のジュースが発売されたので、クッキーの方のカントリーマアムを買ってきて牛乳を入れてミキサーでジュースを自作して、どっちが美味しいかを比べるという企画をやったんですけど、同じことをやっている人が既にいてコメント欄が「パクんなー」で埋め尽くされました…。

過激なことはやりにくいんだけど、ハードルはちょっとずつ上がっている感じがします。

≫次ページ 「HIKAKINがナンバー1になれた理由」へ続く

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