望月義夫環境相と上川陽子法相は2日の衆院予算委員会で、2013年に加え11~12年も国の補助金を受けた総合物流会社の鈴与から献金を受けていたと認めた。「法に抵触しない」と主張した。補助金交付を決めたのが国ではなく一般社団法人で、同社が献金禁止対象の「1年以内に補助金を受けた」との事実も知らなかったという。野党は安倍晋三首相にも同様の構図の献金問題があるとみて追及する構えだ。
2日に認めたのは、11年11月に望月氏が代表の「自民党静岡県第4選挙区支部」に献金した140万円と、12年10月の390万円。上川氏については11年9月~12年11月に同氏が代表の「自民党静岡県第1選挙区支部」に献金した計90万円。鈴与から両氏側への献金は3年連続で計820万円に上る。
両氏側は鈴与が国土交通省と環境省からの補助金交付を受けた13年に同社から献金を受け取っていた。国の補助金を受けた企業は交付決定から1年以内の政治活動への寄付が禁じられ、野党は政治資金規正法違反の可能性を指摘している。
望月氏は民主党の山尾志桜里氏の質問に「鈴与への補助金決定を知らなかった」と主張。上川氏も「知らなかった」と答えた。規正法は補助金を受けた企業からの献金に関し「違反した寄付と知りながら受けてはならない」と規定。交付の事実を知らなければ違法ではないというわけだ。
望月、上川両氏は一般社団法人が交付決定した環境省からの補助金を「政治資金規正法の『国の交付決定を受けた補助金』にあたらない」と説明した。一般社団法人は国とは異なるため、違法ではないという主張だ。
野党には、そもそも政党支部とはいえ企業の献金を受けるのは「規正法の趣旨と違う」との批判がある。一般社団法人が交付決定した補助金との説明には「元をたどれば国の金だ」(民主党の後藤祐一政調副会長)と追及を強めている。
民主党幹部によると、首相についても自身が代表の政党支部が、国の補助金交付が決まった化学関連企業から1年以内に寄付を受けたという。同党は3日の衆院予算委で首相をただす予定だ。
自民党の谷垣禎一幹事長は2日の記者会見で、望月、上川両氏について「違法の問題ではない」としたうえで「しっかり説明してほしい」と指摘。公明党の山口那津男代表は政府・与党連絡会議で「政治家本人がきちんと説明責任を果たしてほしい」と苦言を呈した。
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