“IT業界の女帝”の異名を持つ起業家の奥田浩美さんが、著書『会社を辞めないという選択』を出版しました。
会社員を経て女性起業家として活躍し、数々の企業のスタートアップを後押ししてきた経験も持っている奥田さんだからこそ、時代の急激な変化を肌で感じ、その中で会社員という存在の大きな可能性に着目してメッセージを送っています。
インタビューの後編となる今回は、今、日本の企業におけるリーダーシップの在り方がどう変わろうとしているのかについてお聞きしました。
(構成・文=成田真理)
(前編はこちら)
『会社を辞めないという選択』では、「個人の力をより強くするのが会社」だと書いていますね。会社員として自分の個性を伸ばしていく秘策が、何かあるということですか。
奥田:それは、ものの見方、考え方を変えていくということです。考え方を変えれば、行動も変わる。それまで息苦しいと思っていた環境が、途端に生きやすい環境に変わり、敵だと思っていた人が、みんな味方に見えてくるのです。
そのためにもまず、「VS.思考」を止めるべきです。会社員という立場を語るとき、「会社 VS.個人」「大きな組織 VS.個」と考えてしまいがちですが、これが個性を伸ばすには邪魔になります。そもそも会社がなぜ設立されたかと言えば、最初は何らかの形で人と資金を集め、事業をするためだったはずです。つまり、会社というのは個人プレイではなく、チーム戦を繰り広げるために存在しています。それなのに、チームメンバーである会社員が、会社と自分とを二極の対立としてとらえているようでは、試合に勝てるわけがない。
鹿児島県生まれ。インド国立ボンベイ大学(現州立ムンバイ大学)大学院社会福祉修士修了。IT技術の台頭と共に海外より進出してきた、大型のプライベートショーを受注し、数多くのイベントの日本への上陸をサポート。2001年に株式会社ウィズグループを設立。2012年、地域×ITのメディア、fin.der.jpを立ち上げる。並行して2013年に徳島県の過疎地に「株式会社たからのやま」を創業、「ITふれあいカフェ」を設け、高齢者共同製品開発事業を開始(写真は竹井俊晴)
チーム戦というのは、何も自分が他のメンバーに同調するということではありません。メンバー1人ひとり、考え方が違っていて当然です。考え方が違うメンバー同士、個性を失うことなく、一丸となってより強い力を発揮していくのがチームであり、会社なのです。ですから、自分の個性を会社でどう生かし、会社にどんな貢献ができるのかを考えることで、自分の力を会社に反映させていくイメージを持てるようになります。