中国

希薄な衛生意識と政府の隠蔽体質、
エイズ患者を生み出す中国の病い“エイズ村”の実態を暴いた女性医師

2015.03.03(火)  柯 隆

政府当局、軟禁中のエイズ活動家の渡米を許可 - 中国

軟禁中の河南省鄭州市の自宅で撮影に臨む高耀潔氏(2006年8月2日撮影)〔AFPBB News

今さらエイズという病気を知らない人はいないだろう。エイズはHIV(ヒト免疫不全ウィルス)の感染によって発症する病気である。中国の保険当局者の話として伝えられるところによれば、中国では2014年に新規HIV感染者とエイズ患者数が前年比で約14%増加したという。

 1996年、中国河南省鄭州市の産婦人科医師、高耀潔(こう・ようけつ)氏は、鄭州武警医院の依頼で、42歳のある女性患者を診察した。40度に上る高熱が16日間も続き、口のなかは重度な潰瘍(かいよう)の症状が見られた。診察に立ち会った医師の多くは、何かの奇病に犯されているのではないかと考えた。そのなかで高医師は、この女性は免疫系の病気にかかったのだろうと診断した。血液検査の結果、高医師の読みは的中した。その女性はエイズだった。

 しかし、女性にはHIV感染者との性交渉の経験はなく、麻薬注射歴もなかった。どのようにしてHIVに感染したのかは謎だった。

 高医師は女性の親族に聞き取り調査を行った。その結果、感染経路が判明した。この女性は2年前に子宮頸管ポリーブの手術を受けたことがあった。そのとき、輸血を受けていたのだ。したがって、手術の際に輸血された血液で感染したのだろうというのが、最も可能性のある原因として考えられた。

 高医師が診察した女性患者は、それから10日後に死去…
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