京都・下鴨神社にマンション 「糺の森」隣接地、式年遷宮費用に
下鴨神社(京都市左京区)は2日、式年遷宮の費用を捻出するため、境内の一部を高級分譲マンション用地として事業者に貸し出すと発表した。世界遺産として知られる国指定の史跡「糺の森」の隣接地を50年間の期限付きで貸し、年間約8千万円の地代収入を境内の整備や文化財の保存事業などに充てる。
計画地は境内の南端約9600平方メートルで、現在は有料駐車場や研修道場として使われている。世界遺産に登録されている史跡区域とは、御蔭通を挟んで隣り合う位置にある。
計画では、敷地の中央を通る表参道の両側に、高さ10メートルの鉄筋コンクリート造3階建て計8棟(計107戸)と駐車場、自転車置き場などを整備する。11月に着工し、2017年2月に完成する予定で、富裕層向けのマンションになるという。
あわせて、敷地内の表参道を石畳風舗装に改良するほか、御蔭通の歩行スペースの拡幅や建物周辺の植樹を行い、景観との調和を図るとしている。研修道場は老朽化のため取り壊す。
下鴨神社では、21年ごとに社殿を大規模修理する式年遷宮に取り組んでおり、今年4月にはご神体を仮本殿から本殿に戻す「正遷宮」が営まれる。資金を工面するため08年度から募金事業を行ってきたが、リーマン・ショック後の景気の落ち込みなどで、当初見込んでいた企業などからの寄付が目標の半分程度しか集まらなかったという。
同神社は「式年遷宮には莫大(ばくだい)な費用がかかり、募金を柱に資金を確保するのは難しい。収益事業を拡大し、境内に85棟ある社殿を1棟でも多く修理したい」としている。
【 2015年03月02日 23時20分 】