堀込泰三 - お金,コミュニケーション,子ども 08:00 PM
「ママ、うちって貧乏なの?」 お金に関する子どもの無邪気な質問に答える方法
子どもに、お金に関する無邪気な質問をされて困ったことはありませんか? できるだけいい回答をしてあげたいけれど、どう答えていいかわからないことって多いですよね。そこで、子どもによく聞かれる質問と、それに対するベストアンサーを紹介します。
パパ/ママはいくら稼いでるの?
子どもが大きくなると、人によって収入が違うことに気がつくようになります。職種によって収入が違うのであれば、あなたはどうなのかと気になるのも当然でしょう。
まず、どこまで正確に伝えるかを、自分で判断しましょう。明確な数字は避けるのか、ズバリ言うのがいいのかは、あなたが決めることです。いずれにしても、次のような解答だけは避けてください。New York Timesのコラムニスト、Ron Lieber氏はこう言っています。
「あなたには関係ないでしょ」は、いい答え方とは言えません。それに、いきなり数字をはっきりと言うのもあまり望ましくありません。お金に関して透明性を示すには、子ども側の準備ができている必要があるのです。
Lieber氏は、子どもが未来への準備をするためにも、この話題に関してはオープンでいることが重要だと言います。お金をタブーにしてしまうと、重要な教訓を得るチャンスを逃してしまうことになりかねません。同氏によれば、5歳から6歳ぐらいの時点で収入という概念について話し、それからティーンエイジに向けて、少しずつ答えを示していくのがいいとのこと。各年齢に適したお金の教訓を考えながら、情報を開示していきましょう。
答えるときには、背景も説明してあげてください。収入の意味を伝えると同時に、予算や支出について話すのもいいでしょう。お金に関する、生産的な議論の機会にしてください。どんな質問をされても、まずは。「なぜそんなことを聞くんだい?」と聞き返すことをLieber氏は勧めています。子どもの思考プロセスをあらかじめ知ることで、より有益な情報を与えることができるでしょう。
うちって貧乏なの?
子どもがこの質問をする理由は、いくつも考えられます。「Mommyish」のライター、Valerie Williamsさん場合、娘より友達のほうがおもちゃをいっぱい持っていたことから、この質問をされたそうです。それに対する、Williamsさんの答えはこちら。
うちはお金持ちでも貧乏でもないと答えました。「必需品だけでなく、欲しいものをそれなりに買うお金もあるから、うちは中流ぐらい。素敵で温かくて安全な家があって、ちゃんと動く車があって、引き出しにはいつも食べ物があって。だから心配いらないのよ」と。
娘はきっと、心のずっと奥の方で心配をしていたんでしょう。家族が安心して生活していけるのか、そして、自分はずっと面倒を見てもらえるのか。それを確認したかったんだと思います。
この質問には、子どもに安全と安心を感じさせてあげることが正しい答えであると、多くの専門家が同意するでしょう。お金の大御所、Suzu Ormanさんは、「No」がベストアンサーであると言います。
この質問には、必ずNoと答えるべきです。我が家は、愛情と皆がいることで満たされているのだと。人生のあらゆる側面において、我が家はリッチであるのだと。
『Momma, Are We Poor?』は、この質問にズバリと答える子ども向けの本。物質主義を排除し、もっと大事なものを重視するという方法で答えていきます。
だからといって、お金のことを悪く言う必要はありません。お金が物質主義に関係するのは間違いありませんが、選択肢、安全、自由などの、もっと大事なことにも関係しているのですから。つまり、答え方としては、自分たちの生活でリッチな部分を強調し、子どもに安全と安心を感じさせてあげるのが正解でしょう。
それに、お金持ちが必ずいいわけではないことを説明するチャンスでもあります。お金の教育家、Willard Stawski氏はこう述べています。
たとえお金がたくさんあっても、「うちは何にでも自由にお金を使えるんだ」と子どもに思わせたり、近所に自慢して回らせてはいけません。
その場合でも、必要なものはそろっているという、「安心させるための一般化」をするのは構わないとStawsiki氏は言います。
なんで欲しい物を買っちゃいけないの?
お金の価値がわからない子どもに、何もかもを買ってあげられない理由を説明するのは至難の業です。でも、せっかくの機会ですので、ちょっとしたお金の使い方・貯め方講座にしてしまいましょう。我が家のお金の動きについて、年齢に合わせてわかりやすく説明するのです。
この質問への回答には、解決策を含めてもいいでしょう。お小遣いを開始したり、貯金箱を用意したり。いずれにしても、何かを買ってあげられない理由を説明するときには、言葉の選び方に気をつけてください。心理学者のJoseph Cilonaさんは、お金についての話し方は、子どもに永続的な影響を及ぼすと述べています。たとえば、「お金がなくて買えない」という言い方の影響について、こう説明しています。
そのような言い方は、自分ではどうすることもできないという印象を与えてしまいます。お金がこのような感情と結びついてしまうと、無力感につながります。そのような事態を避けるには、自分で入念に考えることで、お金はコントロールできるのだと思わせることが必要です。
もっと力を与える言い方もできます。それは、「これは高すぎるから、お金をつぎ込むのは賢い選択ではない」という言い方。また、トレードオフの概念を教えるチャンスにもなります。そのおもちゃを買えないのは、ほかの何かにお金を使ったから。または、もっと大事なものにそのお金を残しておくべきだからと、丁寧に説明してください。
パパ/ママが失業したらどうなるの?
本当に失業中の場合、この質問は、「お金がなくなっちゃったらどうなるの?」となるかもしれません。どちらの質問も、答えるのは難しいでしょう。なぜなら、あなただって答えを知らないから。これから先、あなたが失業しないとは言い切れません。もし本当に失業してしまったら、何もかもが今と同じようにはいきません。財布のひもをきつくすることも必要になるでしょう。ライフスタイルが、多少変わってしまうかもしれません。
ここでも、子どもに対する教育の機会として答えてください。もちろん、安心を感じさせることも重要。Lieber氏はこう述べています。
できるだけ、具体的な話を心掛けてください。貯金のこと、解雇手当のこと、失業保険のこと。これからもずっと、生活の場と食料は確保されることを説明してください(ただし、本当に事態が悪化したら、あなたの両親やその他の親族と住むことになるかもしれないという可能性には、今のところ触れないでおきましょう)。
失業中の子どもとのコミュニケーションは重要です。これからどうなるのか、可能性をわかりやすく伝えてあげてください。「About Our Kids」では、年齢別の伝え方を紹介しています。
- 5歳以下:シンプルかつ具体的に。この年齢の子どもは、自分の安全と、これからも面倒を見てもらえるという安心感が必要です。それに、失業が彼らのせいではないと教えてあげてください。
- 6歳から9歳:物事の善悪に関心がある年齢ですが、失業が不公平なことなのか、理解に苦しむかもしれません。聞かれたら、何でも答えてあげましょう。
- 10歳から12歳:既知の事実を組み合わせて、複雑な考え方ができる年齢です。失業が日常生活に与える影響を理解でき、予算計画に参加することもできるでしょう。
- ティーンエイジャー:失業による予期せぬ影響まで理解できます。問題について詳細に議論し、とらえにくい失業の影響を理解し、問題解決に積極的に携わってくれるでしょう。
同サイトによると、これもまた、安全・安心にかかわる質問なのだとか。ですから、多少の変化はあっても安全であることを、子どもに確信させてあげることが重要です。
初めてこのような質問をされると、戸惑ってしまうかもしれません。でも、質問する子どもの気持ちを理解すれば、答えは自然と導かれるはず。最終的には、あなたの答えが、彼らのお金に対する健全な態度と習慣に結びつくのです。上記のような対応をしていれば、いつか子どもが大きくなったときに賢い決断を下せるような、強固な基盤を築くことができるでしょう。
Kristin Wong(原文/訳:堀込泰三)