モバイル関連見本市イベント
MWC 2015 で、Google が独自のモバイル決済サービス Android Pay を開発中であることを明らかにしました。
Android Pay は先行したライバルApple Pay のように、実店舗でもオンラインでもセキュアな決済サービスを提供するフレームワーク。Googleサービスのためだけでなく、Android Pay の上にサードパーティーが容易に独自のサービスを構築できるフレームワークであるとされています。
Google は 2011年から独自のモバイル決済サービスである Google Wallet を展開してきましたが、Android Pay と Google Wallet は別レイヤーのサービスとして、Android Pay が Google Wallet の基盤になる位置付けとされています。
Googleは先月、また別のモバイル決済サービス Softcard を買収したばかり。Android Pay は Softcard 陣営の 大手通信キャリア AT&T、T-Mobile、Verizon と協力し、各社の端末にプリインストールされる見込みです。
あまり聞き慣れない Softcard は、米国の通信キャリア3社が中心となって2010年に設立し、2011年にはクレジットカードの Visa、MasterCard、American Express 、モバイル端末のHTC、ソニー、サムスン、LG、RIMなどを陣営に引き入れていた勢力。
Google Wallet とはライバルの関係でしたが、サービスの開始は遅れたうえに小規模に留まっており、あとから来た Apple Pay にあっさりと市場を奪われていました。
Softcard は 2010年の結成当初には ISIS と名乗っていたものの、いわゆる『イラクとシリアのイスラム国』 ISIS (Islamic State of Iraq and Syria)とまさかの名前かぶりが発生してしまい、2014年秋になってからひっそりと名称を Softcard に改めていました。
もともと存在感の希薄なアライアンスでしたが、改名を強いられたことでさらに追い打ちを掛けられていた感もあります。Google はこの Softcard を、これまで注ぎ込まれてきた投資額とは比較にならないほど少ないとされる価格で買収し知的財産ほかを手に入れ、さらに旧Softcard 陣営を取り込んで Apple Pay に対向する構えです。
Googleの Sundar Pichai 氏によれば、Android Pay は「まずはNFCから」開始し、いずれはバイオメトリクスにも対応予定。
アップルの Apple Pay は指紋認証付きの iPhone 6 / 6 Plus や最新世代 iPad では Touch ID指紋センサを、それ以前の iPhone では NFC搭載の Apple Watch と連携したセキュアな支払いに対応します。Android Pay もいずれはAndroid スマートフォンの指紋センサなど生体認証を導入すると考えられます。
Android Pay の詳しい機能や仕組みについては語られない部分が多く、明かされたのは Apple Pay に対向する新規のモバイル決済サービスを開発中であること、Google だけでなく他社やオンライン・オフラインの店舗が容易に導入できること、Android Pay 上に独自サービスを構築できユーザーにとってはシームレスに使えるフレームワークであること、Android のシステムレベルに組み込まれること、また Apple Pay のようにワンタイムトークン(小売店側から流出しても使いまわせないID)で決済する機能を備えること、など。
現行の端末で Android Pay は使えるのか、Android のどのバージョンにどのような形で組み込まれるのか、提供地域や時期について具体的な話はまだありません。