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<川崎中1殺害>母コメント全文「残忍…涙が止まりません」

毎日新聞 3月2日(月)21時46分配信

 川崎市川崎区の多摩川河川敷で同区の中学1年、上村(うえむら)遼太さん(13)の刺殺体が見つかった事件で、上村さんの通夜が2日、川崎市内の斎場で営まれ、親交のあった制服姿の同級生や保護者らが訪れ、その死を悼んだ。上村さんの母親は2日、弁護士を通じてコメントを発表した。全文は以下の通り(表記は原文のまま)。

 本日、遼太の通夜を執り行うことができました。

 優しい顔で寝ている遼太の姿を見ると、本当に遼太が死んでしまったのか分からなくなります。

 今にも起き上がって「母さん、母さん、お腹すいた」と言うのではないだろうか。台所にいると、「ただいま」と元気な声が聞こえ、帰ってくるのではないかと思ってしまいます。

 寝ている遼太に声をかけても、遼太が私を「母さん」と呼ぶことも、話すこともできなくなってしまったことが悲しくてたまりません。

 遼太は、本当に明るくて優しい子で、友達が多く、まわりの大人たちにもとても大事にされてきました。

 中学校1年生で、まだまだあどけなく、甘えてくることもありましたが、仕事が忙しかった私に代わって、進んで下の兄弟たちの面倒を見てくれました。

 私自身、仕事や家事に疲れた時、何度も何度も遼太の姿に励まされることがありました。学校を休みがちになってからも、長い間休んでいると、きっかけがないと学校に行きづらくなるから、早く登校するように話してきました。ただ、遼太が学校に行くよりも前に私が出勤しなければならず、また、遅い時間に帰宅するので、遼太が日中、何をしているのか十分に把握することができていませんでした。

 家の中ではいたって元気であったため、私も学校に行かない理由を十分な時間をとって話し合うことができませんでした。

 今思えば、遼太は、私や家族に心配や迷惑をかけまいと、必死に平静を装っていたのだと思います。

 事件の日の夜、一度は外に出かけようとするのを止めることができたのだから、あの時、もっともっと強く止めていれば、こんなことにはならなかったとずっと考えています。顔や体のひどい傷を見て、どれほど怖かっただろうか、どれほど痛かったかと思うと涙が止まりません。小さな遼太に、このようにむごく、残忍なことを行える人間が存在することが信じられません。

 犯人が逮捕されましたが、遼太が帰ってくるわけではなく、犯人に対して何も考えることはできません。

 最後になりましたが、遼太のために河川敷に献花して下さった皆様、また、昼夜問わず捜査に尽力いただいている警察関係者の方に、厚く御礼と感謝申し上げます。

最終更新:3月3日(火)1時30分

毎日新聞