登録 : 2015.03.01 20:54 修正 : 2015.03.02 06:18

セウォル号を削除、進歩党解散も削除、
言論独立性も警察罪証も揃って削除…
国家別自由権規約履行実態意見書
人権委員を経て草案から後退
争点は65個→37個→31個に減り
「人権委が国家の人権侵害を隠蔽」

韓国国家人権委員会の看板//ハンギョレ新聞社
 国家人権委員会が最近国連に人権規約履行実態意見書(情報ノート)を出す過程で、草案にはあったセウォル号真相究明、大統領府による言論人告訴、統合進歩党解散など人権後退と見られうる内容をすべて削除していたことが確認された。

 人権委は先月、「国連自由権規約第4次国家報告書審議関連情報ノート」を国連人権理事会(UNHRC)に送ったと1日明らかにした。 2011年に韓国政府は、2004~2010年の自由権規約履行状況を報告した。 国連は各国政府の他に非政府機構(NGO)や国家人権機構からそれぞれ意見を求めた後に審議を経て最終勧告事項を決める。 この過程で人権委のような“独立的”人権機構の意見は、多少一方的になりうる政府や市民社会に比べて客観性・中立性が高いと評価されることになる。

 人権委人権政策課は1月15日の常任委員会会議に情報ノート草案を報告した。 国連自由権規約が定めた17分野で65個の争点が選ばれたが、△スパイでっち上げ事件の消滅時効△セウォル号真相調査委員会の公正性・独立性△国家情報院の盗聴および通信業者のデータ保管・提供△憲法裁判所の進歩党解散△批判的言論人に対する大統領府・政府の告訴・告発増加△警察の不法罪証△集会参加者に対する一般交通妨害罪の適用△ストライキ労働者に対する損害賠償請求・仮差押さえなど、重要な人権・基本権侵害事例が多数含まれていた。

 これに対し人権委常任委員らは「人権委が意見を出していない事案が含まれている」、「4次国家報告書の内容である2010年までの状況が中心となるべきだ」、「内容があまりに長い」として、草案の再作成を要求した。

 人権政策課は先月5日に修正案を常任委に再報告した。 草案から何と28個の争点が削除されていた。 常任委員らはさらに6個の争点を再び取り除き、人権委が昨年警察庁に改善を勧告した“不法罪証”項目までなくなった。

 人権委は「内容が過度にぼう大で、自由権関連項目だけ選んでみようという趣旨で争点を減らしたものと理解する。 裁判が進行中のものや、セウォル号真相究明のようにまだ終わっていない懸案を除いた。 結論が出れば次回の報告書に含めことができる」と話した。 だが、人権委の内部報告書にも「国連の国家報告書審議は、現在までの履行状況を含めて審議する」とされており、このような説明は説得力に欠ける。

 人権団体はこのような措置が李明博(イ・ミョンバク)・朴槿恵(パク・クネ)政権での人権後退とヒョン・ビョンチョル人権委員長時期の人権委の没落に対する国際的評価を意識した姑息なやり方だと批判した。人権委を正す共同行動のミョン・スク執行委員は「人権委は自国の人権侵害状況を国連に正確に知らせ、問題を予防する義務を持つ。 削除措置は義務の放棄であり国家の人権侵害を積極的に隠蔽すること」と話した。 匿名を要求した人権委のある関係者は「資格を備えていない人権委員が人権委を政治的に利用して、政府にとって負担となるような事案を除いたと判断される」と話した。 人権団体は削除措置に対する声明書を国連と国家人権機構国際調停委員会(ICC)に送ることにした。

イ・ジェウク記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015/03/01 20:02
http://www.hani.co.kr/arti/society/rights/680254.html 訳J.S(1543字)

関連記事
  • 오피니언

multimedia

  • most viewed articles
    • hotissue