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「日本人は藁の煙だけを用いて極めて巧みに着色する」戦国時代、宣教師が驚愕した超絶技巧『印伝』

 
 
 
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(┘°Д°)┘ ナンダコレハ?!

現代の日本人も驚愕

捉えどころのない「煙」を巧みに操り "非常に精細な模様" を描く職人の姿に、戦国時代、織田信長や豊臣秀吉と謁見したイエズス会の宣教師 ルイス・フロイスを

われわれの毛皮は染料で着色するが
日本人はただ藁の煙だけを用いて
極めて巧みに着色する


ルイス・フロイス『日欧文化比較』

と驚愕させた「燻べ (ふすべ)」の技法。

古くは奈良時代に始まり、白い鹿皮を藁や松脂の煙でいぶして着色するこの技術は『印伝 (いんでん)』と呼ばれて、1,300年の時を経た現在も継承されている

印伝の歴史

「神は細部に宿る」

ぼくらが普段目にしている武将の鎧兜も、よーく見ると、あの見事な造形の全体を支える "ディティール" にその技法が使われていて

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弓矢から武将の命を守る、兜の吹返に貼られた絵韋(えがわ)を始めとした各パーツの装飾に使われています

この文様は「正平柄」と言って、南北朝時代に征夷大将軍懐良親王が肥後(熊本) の革工に命じて、獅子や牡丹、唐草の文様を配して染め出したことがはじまり。その日付「正平六年六月一日」が謎めいて銘されているのが特徴 (印傳 合切袋)

・吸湿性/放出性ともに優れ
・肌触りもよく
・防菌/防虫効果もあり
・なおかつ複雑な立体形になじみ易い

印伝は幾多の戦いを通じて洗練されていき、戦国時代後期の1582年に甲州で創業、現存する日本最古の印伝細工業者である『印傳屋』の上原勇七が

着色した鹿皮へ、漆(うるし) で模様をつける新しい印伝技法「漆付け」を編み出したことで

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太平の世を謳歌するかのように、印伝を使った財布や煙草入れなどの日用品が次第に人々の手に渡り、江戸時代に爆発的な人気を博ました

その様子が当時の大ヒットメディア「東海道中膝栗毛」に

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腰に下げたる
印伝の巾着(きんちゃく) を出だし
見せる


十返舎一九『東海道中膝栗毛』

と、印伝に夢中になっている粋人たちが描かれています



印伝の技法

漆付け


染色した鹿皮に、模様を切り抜いた型紙を置き、木枠で固定。卵白や砥粉を混ぜた漆を、その上からヘラで均等にすり込み、模様を浮き上がらせる

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技 : 印伝の世界 via. 印傳屋

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この模様のパターンは、中世に武士のあいだで "勝虫 (かつむし)" と呼ばれ、武具や装束に多用された「とんぼ」や、幸福を呼び起こす吉祥模様「青海波」、学問の神・天神信仰の表象「立梅花」をはじめとして、多彩に発展を遂げました

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日本人の美意識の原点とも言えるこれらの文様に関しては「模様: 印伝の技法」で詳細に解説されています

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400年の時を経た現代の日用品に適応しても、まったく遜色なく美しい


燻べ (ふすべ)


「燻べ技法」は "熟練の職人が蓄積した感" が頼り。非常に手間がかかり、完成まで最低でも3〜6ヶ月を必要とするため、生産量も数%という非常に貴重なものになる

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技 : 印伝の世界 via. 印傳屋

1. "太鼓" と呼ばれる木製のドラムに鹿皮を固定
2. 縞模様の場合は麻糸を巻き付け、小桜/トンボ模様などの場合は予め糊付けする
3. 直径4cm の穴から立ち上る藁の煙で、回転速度を加減して6〜8回いぶす
4. さらに松脂でいぶし、色の濃淡を調節する
5. 仕上げに一度藁で燻べる

麻糸の掛け方によって「三本縞」「二本交叉」など、様々な縞模様が生まれます

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爪唐草漆付三ツ巻財布」「蜻蛉燻巾着」印傳博物館収蔵

なんという精巧。巾着(きんちゃく)は、ひとつひとつトンボの表情が異なってる

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火事半纏」ボストン美術館収蔵

ボストン美術館に収蔵された、火消しのイナセな半纏。火事場で活躍した人物の半纏は、さぞかし "いい味" を出していたんだろうな

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この縞模様が「煙?!」

にわかには信じがたいレベルだろこりゃ・・・



印伝、再び世界を衝撃

戦国時代にルイス・フロイスが驚愕した甲州印伝。彼らが起こしたイノベーションは江戸時代に開花し、はるか400年の時を経て、

昨年末、甲州「印傳屋」がなんと、イタリア・フィレンツェの革職人から世界的なファッションブランドとなったグッチ(GUCCI) とのコラボを実現再び世界を衝撃

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さらに、印伝の勢いは留まることを知らず、「INDEN NEW YORK」として海外へ波及しています

職人技、恐るべし

印傳屋|INDEN-YA
印傳屋|バッグ&小物 コレクション

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