福島第1原発:母の会が情報誌「戻る戻らないの選択応援」

毎日新聞 2015年03月01日 18時14分

 原発事故を受け、山形県に避難した母親でつくる「山形避難者母の会」が、情報誌「KURASSO(クラッソ)」を完成させた。山形から福島に戻った母親が編集を手がけ、避難当時の自分が知りたかった福島の情報を盛り込む。伝えたいのは「戻る、戻らない、いずれの選択も『正解』」とのメッセージだ。【喜浦遊】

 情報誌はB5判24ページ。福島県内の学校給食の検査態勢を知ってもらうため管理栄養士にインタビューしたり、子どもの屋外遊び場など身近な情報を掲載したりしている。インタビューや情報収集は登録会員らが担った。

 編集したのは、母の会代表の中村美紀さん(39)。2011年8月、娘3人を連れて郡山市の自宅から山形市に自主避難し、昨年3月に帰還。同5月には長男を出産し、4児の母になった。

 中村さんが避難中、最も欲しかった情報は「福島で暮らす人たちのリアルな声」だったという。行政は除染の進捗(しんちょく)状況や、食品の放射性物質濃度などのデータは示してくれるが、「本当に知りたいのは福島の人が何を感じ、何を考えて暮らしているのかというストーリーだと実感した」という。このため情報誌では、不安の声や困ったことも加減せずに掲載することにした。

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