■6年10カ月ぶりの「首位返り咲き」
中央日報電子版は、グローバル造船海運市況分析機関である英クラークソンのまとめとして、1月の世界に占める船舶受注シェアは日本が45.9%、韓国30.9%、中国17.6%だったと報じている。6年10カ月ぶりに日本が1位になったのは、今治の2万個積みの超大型コンテナ船の大量受注が成長の一因として作用したとした。
そもそも1980年代は日本が世界の造船市場でトップランナーを走っていた。だが、安値受注などで中韓勢が猛烈に追い上げ、追い越した。ただ、熾烈(しれつ)な競争を繰り広げる中、中国や韓国の新興メーカーは生産規模を大幅に拡大。この結果、造船市場は需要をはるかに上回る供給過剰になり、造船会社の採算は悪化した。
そんな中、日本の造船メーカーが息を吹き返しつつあるのは、「アベノミクス」による円安で受注競争力が回復したことと、さらに数年にわたる構造調整、いわゆる統廃合でコスト競争力を高めたことが大きい。もちろん品質が高く、納期をしっかり守るといった日本企業の優れた面が支持されていることもある。
■統廃合で競争力強化
統廃合の動きとしては2013年に、今治造船と三菱重工業がLNG船舶部門を切り離し、LNG船を専門に製造する「MILNGカンパニー」を設立。同年には、アイ・エイチ・アイマリンユナイテッドとユニバーサル造船が合併し、世界4位となるジャパンマリンユナイテッド(JMU)が誕生した。さらに、昨年10月には、名村造船所が佐世保重工業を子会社化し、国内ではJMUに次ぐ規模になった。
三菱重工業は、戦艦「武蔵」を建造した長崎造船所で手掛ける造船事業を、今年10月1日付で分社すると発表。LNG船などを建造する全額出資会社と、船の部品となる船体ブロックを製造する事業会社を設立することを決めた。
こうした再編やコスト改善に向けた改革に加え、「円安で15%は(日本船の)船価が下がった」(市場関係者)ことも加わり、急速に競争力を高めている格好だ。このため、とくに液化天然ガス(LNG)船や超大型コンテナ船など高付加価値分野で日本と直接競合することになる韓国勢は焦りを隠せないでいるわけだ。
これまで、海外勢に差をつけられてきた日本勢だが、今治造船の大型ドッグ建設を機に、他の国内メーカーも追随するような動きが出てくれば、いよいよ韓国勢には脅威となる。
中央日報電子版によると、サムスン重工の関係者は「日本の造船業の最も大きな弱点は中小型の造船所が多く、今まで建造した船舶の最大サイズが(コンテナ船の場合)1万4000個積みだった」とした上で「超大型ドックの建設で2万個積の建造までが可能になれば、いつでも韓国に追いつく可能性がある」と、かつての「造船大国日本」の復活に神経をとがらせている。