日本の造船業が復活に向けて動き始めた。1月末、国内造船大手の今治造船が16年ぶりに超大型ドックの新設を発表。さらに1月の船舶受注量で日本が韓国と中国を抜き1位に返り咲いた。日本が月間ベースの受注量で1位になったのは2008年3月以来6年10カ月ぶりのことだ。「アベノミクス」による円安や造船各社の構造改革によって、受注・コスト競争力が高まり、ここにきて息を吹き返しつつある格好だ。これに警戒しているのが、日本に代わり造船大国になった韓国勢。韓国経済新聞によると、韓国の業界関係者は「円安と技術力、安倍晋三政権の支援を背に、日本企業が中国よりも速いスピードで韓国を追撃している」と述べ、高い技術を誇る日本勢の復活に戦々恐々としている。
■16年ぶりの超大型ドック新設
今年1月29日、国内外の造船関係者は驚きの声を上げた。
今治造船が台湾の海運会社から世界最大級となる約2万個積みの超大型コンテナ船11隻を受注したと発表。さらに驚かせたのが、この全長約400メートル、幅約59メートルという超大型コンテナ船を建造するため、長さ約600メートル、幅80メートルの大型新造船建造ドック(香川県丸亀市)の新設を決めたからだ。
新ドッグは月内にも着工し、2016年10月の完成を目指す。同社にとっては、新設するドックは2000年に完成した西条工場(愛媛県西条市)以来。投資額は約400億円を予定している。
同社の関係者は「超大型船の商談など世界中からの多様なニーズに柔軟に対応できる生産体制が構築できる。国際競争力に磨きをかけ、顧客の期待に応える船造りを目指す」と意欲満々だ。
この新ドッグ建設に敏感に反応したのが、韓国の造船メーカーだ。特に今治が2万個積みを超える超大型コンテナ船を受注していることに相当の脅威を感じているようだ。韓国経済新聞によると、これまでウルトラマックス級と呼ばれる約1万8000個積み以上の超大型コンテナ船市場は、現代重工業、サムスン重工業、大宇造船海洋などが事実上独占してきた。しかし、そこに今治造船が割って入ることになる。韓国経済新聞は、韓国の業界関係者のコメントとして「日本が2万個積みを建造すれば、韓国造船業の牙城が揺れる」と紹介している。
中国勢も大型のコンテナ船の建造を多く手がけており、日本の動きを注視しているようだ。