星空文庫

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奴隷ハーレムの作り方#6~ギルドの対策~

冒険者ギルドに着いた俺達は、ギルドの中が騒がしい事に気が付いた。
 何やら冒険者達が物々しい雰囲気で話し合っている。

「やっぱりルドマスが殺られたって話本当なのか?」

「ああ、本当らしいぜ。朝になって兵士が門の前にルドマスの生首が置かれていたのを発見したらしい」

 物騒な話だな。そのまま冒険者達の話に聞き耳を立ててみた。

「それで誰がそんな真似をしたんだ?」

「それがどうやらゴブリンらしいんだ。ルドマスも緊急討伐依頼受けてたからな」

「嘘だろ? ゴブリンがわざわざそんな事するのかよ」

「何なんだろうな……気味が悪いぜ」

 そこまで聞いていた俺は、服の袖を引っ張ってくるリーナに意識を向けた。

「どうした?」

「さっきの話……ルドマスって私を盾にした男ですよ」

 という事はこんな仕業をしでかしたのはあのハイゴブリンか。
 何の意図があるのかは分からないが、えげつないな。

「まあとにかくあのハイゴブリンを何とかしないと不味いな」

 カウンターに向かい、カウンターの奥にいたローリスさんに声をかけた。

「ローリスさん、今空いてますか?」

 俺の声に気付いたローリスさんは俺の顔を見て驚きに満ちた顔をしたまま固まった。

「あの……俺の顔に何かついてますか?」

 そんなに見惚れる程の顔じゃないはずだが。

「あ、いえ……それよりもコーヤさん無事だったんですね!」

「ええ、まあ何とか逃げて来れました」

「本当に良かったです。緊急討伐依頼を受けていた他の冒険者の方達は大怪我をして意識がない方ばかりで、戻ってこられない方もいて……状況が分からないのでギルドも混乱しているんですよ」

「そうだったんですか……あの、俺が見たゴブリンの群れの状況をギルドの上の人に説明しましょうか?」

「本当ですか! それは助かります! これでハイゴブリンの対策も立てれるかも知れませんね。すぐにギルド長を呼んで来ますので少しお待ち下さい」

 そう言ってローリスさんはギルドの奥に入っていった。

「何か厄介なことになってるな」

「今更ですけどコーヤさん良く私を背負って生きて戻れましたよね」

「逃げ足は速いのが取り柄だからな」

「それ自慢になってませんよ」

 リーナの言葉がチクリと心に突き刺さる。
 でも気にしない。べ、別に気にしてなんかないんだからねっ。

「お待たせしました。こちらへどうぞ」

 ローリスさんの案内でギルドの奥へと向かう途中で、ローリスさんがリーナを見て尋ねてきた。

「ところでそちらの獣人の女の子はどなたですか?」

「俺の奴隷のリーナです。昨日東の森で見つけたんですよ」

 説明するのも面倒なので、経緯はすっ飛ばして説明する。

「奴隷なんですね。ではパーティーを?」

「ええ、元々そのつもりでギルドに来たんですよ」

「そうだったんですか。協力して頂いてすみません」

「いえ、俺も冒険者の端くれですから」

 ちょっと格好いいこと言ってみると、ローリスさんが微笑んでくれた。愛想笑いでも嬉しいです。
 にやにやしていると、リーナが背中を抓ってきた。

「コーヤ様の顔が変態になっています」

「顔が変態ってどういうことだよ!」

「それだけやらしい顔をしてるってことです」

 ツンと顔を背けながら言い張るリーナに、俺は閃いたことを小声で訊いてみた。

「もしかして、嫉妬してる?」
「違います」

 即答された。フラグは立っていないようだ。
 リーナの顔が心なしか赤い気がするが、これも俺の妄想が膨らみすぎたせいなのか。

「コーヤさんは奴隷の扱いが優しいんですね」


「ええ、奴隷は愛でるべき存在ですから当然です」


 自信たっぷりと言い放った後の二人の反応は見なかった事にした。
 おいなんでリーナまでちょっと距離を空けるんだよ。



「こちらが応接間です」

 促されるまま応接間へと入ると、ソファーに二人の男が座っていた。
 テーブルの反対側のソファーに座り、俺は自己紹介をする。

「コーヤ・カネミ、Fランクです。宜しくお願いします。」

 すると、二人の男の内、大柄な男が話し出した。

「初めまして、俺はウィレス・マルセムだ。ここルシュタート支部のギルド長をやっている。こっちはワミード・グラキエス、副ギルド長だ。少しなよっとしてるが実力は確かだから喧嘩売るなよ、がはは!」

「ウィレスさん、なよっとしてるは余計です。コーヤ君、僕はワミードだ。よろしくね」

 温和そうな中性的な顔をしているワミードさんが、ニコッと笑いながら手を差し出して来たので握手する。

「それで、コーヤといったな、東の森で何が起きていた? 詳しく話してくれ」

 早速ウィレスさんが事情を聞いてきたので、俺は二人にゴブリンの異常な数と、その群れを統率するハイゴブリンの存在について話した。

「なるほど……数が増えているだけなら依頼を出すだけで済みましたけど、上位種となると討伐隊を済んだほうがいいですね。ウィレスさん、どうします?」

 ワミードさんがウィレスさんに問いかけると、目を閉じて考え込んでいたウィレスさんは、目を開けて答えた。

「要は群れのボスを倒しゃいいんだろ? 討伐隊組んで東の森に行かせよう。細かい事はワミードがやってくれ。俺は訓練場で若いの鍛えてくるわ」

「どうせそんな事だろうと思いましたよ……一週間後に討伐隊が出発できるように予定を組むので、訓練場で期待できそうな者がいれば鍛えといてください」

 溜め息をつきながらこれから忙しくなるであろう事に疲れた表情をしているワミードさんと、訓練場に行くのを楽しみに豪快に笑うウィレスさんを見て、二人の関係性を垣間見た気がした。
 ワミードさん苦労しているんだな。

「そういえばコーヤは東の森から生きて戻ってきたんだったな。ゴブリンを何匹倒して来たんだ?」

 そういえば確認してなかったな。ウィレスさんに聞かれるまで忘れていた。
 俺はアイテムボックスからギルドカードを出すと、討伐記録を見た。

「えっと……237匹、ですね」

「は?」
「え?」
「すごい……」

 ワミードさん、ローリスさん、リーナが同時に声を上げた。
 リーナ、ご主人様はすごいんだぞ。もっと敬え。

「がはは! お前やるじゃねえか! それだけ倒したとは大した腕だ。本当にFランクなのか?」

「いやあ、昨日ギルドに入ったばかりなので」

 あかん、褒められてテンションが上がって声が上ずってしまった。

「ほう、じゃあ初仕事だった訳だ。どれ、鍛えてやるからお前も後で訓練場に来い。熱烈に歓迎してやる」

「は、はあ……時間が空いたら伺ってみます」

 ぶちのめされそうで行くの怖いんだけど、ウィレスさんのが満面の笑顔で部屋から出て行くのを見送ったまま結局ノーとは言えなかった。

「コーヤ君、ウィレスさんはとんでもなく強いから勉強になるよ――何度も死にそうになるけどね……」

 ワミードさん、あんた顔が青白くなってるよ! なにそれ怖すぎる。