財務省が2日発表した2014年10~12月期の法人企業統計によると、全産業(資本金1千万円以上、金融機関を除く)の経常利益は前年同期比11.6%増の18兆651億円だった。統計を比較できる1954年以降で最高。自動車や電子部品の販売が好調で製造業も過去最高だった。設備投資は2.8%増えた。7四半期連続の増加だが、伸びは7~9月の5.5%から縮まった。
これまでの経常利益の最高額は消費税率を5%から8%に引き上げる前の駆け込み需要が旺盛だった14年1~3月の17兆4552億円。10~12月は円安で企業が海外で稼いだ収益の円換算額が増えたことも金額を押し上げた。前年同期を上回ったのは12四半期連続だ。
業種別では製造業が7兆6574億円で16.4%増えた。輸送用機械では米国を中心に自動車の販売が伸びたほか、情報通信機械ではスマートフォンや自動車向けの電子部品が好調だった。非製造業は10兆4077億円で8.3%増だった。
売上高は340兆9719億円で、前年同期比で2.4%増えた。6四半期続けて増加した。
設備投資額は9兆7080億円だった。製造業は8.0%増えた。医薬品の研究開発施設の建設や工場の生産を自動化するシステム向けで増えた。非製造業は0.3%増。テーマパークの関連施設への投資があった。
設備投資の基調をみると伸びは緩やかだ。季節要因をならした設備投資(ソフトウエアを除く)は前期比0.6%増で、2四半期連続で増えたものの、わずかな伸びにとどまった。
今回の法人企業統計の設備投資は9日に発表がある10~12月の国内総生産(GDP)改定値の設備投資に反映される。速報値では実質で前期比0.1%増だった。SMBC日興証券の牧野潤一チーフエコノミストは「改定値は速報値と同水準になる」とみている。
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