字幕ユーザーとの意見交換会リポート
先日、川崎市聴覚障害者情報文化センターにて、字幕スタッフとユーザーの方々との意見交換会が開かれました。
ふ〜ん、関係ないやとブラウザバックしようとした方、2分半だけお時間ください。
「伝えること」全てに関係する問題だと感じました。 聴覚障がい者の皆様から、たくさん頂いた意見の中より3つ厳選しましたので、どうかご一読お願いします。
1.字幕が読みきれないので要約してほしい
私達は普段、制作者の主観によって誤った情報を流さないように、一言一句、音に忠実に字幕を制作しています。しかし、口調やテンポが早い番組だと、読みきれない場合も出てきます。
音声そのままでなくてもよいので要約し、必要な情報を読み取れる時間で出してほしいというご意見でした。
情報を削ることが、逆に情報を増やすことになるという、まさに目から鱗でした。
2.記号の使われ方を知らなかった
字幕にはルールが多数存在し、記号や文字色のひとつひとつに意味があります。それらを知っていたら、もっと字幕を楽しめたかもしれないというご意見でした。
右の画像で示したものはほんの一例です。みなさんはどのくらいご存じでしたか?
データ放送やホームページで字幕案内を行うなどの具体策を考えていますが、説明書を読まずとも、すんなり楽しんでいただけるコンテンツになるよう、字幕の表現も熟考していきたいと思います。
3.字幕の位置を再検討してほしい
通常、テロップや出演者の顔を避けて、字幕はレイアウトされていますが、テロップや出演者のアップが多い番組では、どちらかに重なってしまうことがあります。
かわいい女の子の顔に字幕を重ねるのは心苦しいのですが、「顔に重なっても構わない、テロップの情報が大事」というご意見も…。
そうすると、今度は以下のような問題が出てきます。目の演技で役者の感情を伝えるか、口の動きで発言の内容を分かりやすくするか。
「口が映っているほうが言ってる内容が分かりやすい」とのご意見もあったので、再度、制作スタッフで検討し、統一していきたいと考えています。
その他にも、国会中継の字幕を望む声や、文字や背景の色についての要望など多数ご意見をいただき、大変勉強になった意見交換会でした。
必要な情報を確実に伝える「情報保障」と、番組の雰囲気をありのまま伝える「エンターテインメント保障」の狭間で悩みながら、今後もより一層、ニーズに対して真摯に取り組んでいきますので、何卒ご協力お願いいたします。
今回の意見交換会の模様は、日本テレビの取り組みとしても紹介され、3月20日(日)の『24時間テレビリポート』で放送されました。
自分達の声に字幕を付けるという、何だかちょっと照れくさい経験ができました。字幕室も、字幕室なりのクリエイティビティをもって、「伝えること」を考えています。