『箱根駅伝』2年目の挑戦
『箱根駅伝』2年目の挑戦
~影の伴走者と2人のニューフェース~
コンテンツ戦略センターデジタルコンテンツ戦略部:石川奈美・中村遥風
今年も無事終わりました『箱根駅伝』リアルタイム字幕!
帰省先や初詣での最中、ワンセグからチェックされていた方も多いのではないでしょうか。画面下に表示される字幕を作っていたのは、われらが誇るリアルタイム字幕班です。
…なんていわれても、いまいち何が「誇る」なの?って方のために、
おさらいタイム!
日テレのリアルタイム字幕は、大きく分けて4つの過程を繰り返すことで作られています。
①字幕室担当のアナウンサーがOAの実況や解説を聞きながら、
音声認識しやすいように喋り直す。
②喋り直したものを音声認識の機械がテキストデータにして、
少量ずつ3機の校正端末に振り分ける。
③校正端末を使って、スタッフの手作業で言葉の誤りがないか
校正する。
④3機に振り分けられたデータの語順をそろえて1つにまとめ、
OAの回線に送り出す。
こんな具合に、「東洋大学の柏原選手、早稲田大学を追いかけます」と
テレビから実況が聞こえた15秒後にはもう、後を追いかけるように字幕が流れます。
全部、機械任せにチャチャッと出来ると思ったら大間違い!
一単語一単語、手作業で丁寧に校正しているのにもかかわらず、このスピード。
字幕機械の先進性だけでなく、スタッフの卓越した校正技術の賜なのです。
さらにそのスピードを速める秘訣がもう1つ、単語登録です。
出場校や選手の名前、中継地点の地名やスポーツ用語など、実況者が読み上げるたびに本を開いて探していたら、三が日が過ぎても大手町まで帰って来れません。
数百語に及ぶ固有名詞を校正端末に登録し、サッと呼び出せるようにするための事前準備は、字幕の速度と正確さに大きく影響します。
以上、リアルタイム字幕の素晴らしさと大変さ、ご理解いただけたでしょうか?
ただでさえ、かなりの労力がかかるリアルタイム字幕ですが、特に『箱根駅伝』は片道7時間ノンストップ!
長尺のリアルタイム字幕を控え、重苦しい空気ただよう年末の字幕室。
…かと思いきや、少し様子が違いました。
前回とは ここが違う!<1>
みなさんは、字幕室のスタッフルームが、実は2か所あるのをご存じでしょうか?
字幕制作を実際に行う麹町の北館4階以外に、もう一つ。番組と北館4階の間に立って、スケジュールや映像を管理するスタッフが下島ビル2階にいます。
下島2Fに字幕のスタッフルームがあります
今回は、なんと!事前準備の単語登録を下島スタッフが手伝ってくれました!
年末特番でイレギュラーをどっさり抱えた中、膨大な量の単語登録を引き受けてくれた下島スタッフに大感謝です。
下島スタッフの伴走があったからこその『箱根駅伝』完走でした。
前回とは ここが違う!<2>
リアルタイム字幕は、通常の字幕制作にも増して、
一層の精度とスピードが求められる、非常に難しい業務…!素人がホイホイっとできる作業ではありません。
そんな中、満を持して2人のニューフェースが参加しました!!
字幕制作3年目の深井望美さんと字幕制作1年目の齋藤弥紗紀さんです。
本番終了直後の2人に、やり遂げた感想を聞いてみました。
デジタルコンテンツ戦略部 字幕制作3年目:深井望美
去年の年明けから目指して来た『箱根駅伝』。
まだリアルタイム字幕も指先少し浸かったぐらいで、ベテラン勢のチームの連帯感に何となく憧れを抱いている程度でした。
年末に近づくにつれ、特番や通常業務、CWCのリアルタイム字幕など目まぐるしく、ほとんど自分自身の事前準備が整わない中、迎えた1月2日午前4時。スタンバイは5時にもかかわらず、なぜか1時間も早くリアルタイム字幕室に到着。いち早く他のスタッフをお迎えすることができました。
不安と眠気と程よい緊張を抱えていよいよ本番。
そこにあったのは大学駅伝出場校に負けないぐらいのチームプレーでした。ローテーションで校正端末から抜けている間も(注1)、各スタッフがサポートを怠らずに働きかけたため円滑に進められたのだと思います。完パケ素材(注2)や、いつものリアルタイム字幕(注3)とは違った、そこにいなければ伝わってこない一体感と達成感を味わうことができました。
この襷を次年度に後輩へも自分自身にもつなげて行ければと思います。
注1)3機の字幕校正端末を4人で交代しながらリアルタイム字幕は行われています。
注2)普段のレギュラー番組は放送前にあらかじめ番組からいただいた完パケ映像を
使って字幕を制作しています。
注3)プロ野球やゴルフなど、生放送スポーツ番組の字幕もリアルタイム字幕を行って
います。
デジタルコンテンツ戦略部 字幕制作1年目:齋藤弥紗紀
今回、初めて『箱根駅伝』のリアルタイム字幕の仕事をさせていただきました。この『箱根駅伝』では、選手名の他にコース周辺にある名所や橋の名前など、色々と覚えることが多く、さすがに全部は覚えきれず、OA中に迷っていると周りの方々がフォローをしてくれて、本当に感謝しています。
午前7時OAのため3時に起床するのが多少苦労しましたが、仕事自体は忙しくも楽しく行うことができました。
来年も楽しみながら『箱根駅伝』を出来るように自分自身を成長させていこうと思います。
リアルタイム字幕のスタッフ7名を先頭に、字幕制作のスタッフ全員で激走した、延べ14時間の『箱根駅伝』。
今回の深井さん、齋藤さんのように、来年の『箱根駅伝』に向け、新たなリアルタイム字幕の人員の育成が必要になると思います。
また、校正技術の精度向上や個々のスキルアップも必要なことです。
昨年スタートした『箱根駅伝』リアルタイム字幕ですが、スタート直後にこんなうれしいお言葉が、ある団体から寄せられました。
「字幕が付くようになって、健聴者との共通の話題ができた」
今年は、そのお言葉を受けて2度目の『箱根駅伝』リアルタイム字幕。
毎年楽しみにしている方と一緒に、聴覚障がいを持った方々に、そしてワンセグを音なしで視聴してくださっている方々にも楽しんでいただける番組作りができることを、私達字幕制作のスタッフは誇りに思っています。
今後、さらなる成長をしていく字幕制作のスタッフにご注目ください!